概要情報
事件名 |
小堀不動産管理 |
事件番号 |
滋労委平成21年(不)第3号 |
申立人 |
管理職ユニオン・関西 |
被申立人 |
小堀不動産管理株式会社 |
命令年月日 |
平成23年1月28日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人会社が①組合員X2に対し非組合員と異なる額の昇給をしたこと、②廃業してX2を解雇したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
滋賀県労委は、申立てを全て棄却した。 |
命令主文 |
本件申立を棄却する。 |
判断の要旨 |
1 平成20年4月分の給料について非組合員2名を昇給させ、組合員X2には基本給1万4千円の昇給をしたことは、X2に対する組合員であることを理由とする不利益取扱いになるか。
申立人組合は、X2と被申立人会社の専務Y2との間でX2の給料を年齢に1万円を乗じた額とする旨の合意があった旨を主張するが、諸事実を総合すると、そのような合意があったと認めることはできない。
また、20年4月分の給料については、非組合員Aについては月額3万4千円、同Bについては同1万500円の昇給がされたが、X2はその事実を知って自らもY2に交渉を持ちかけ、その結果、同人の基本給を月額1万4千円昇給させることで合意に至っているのであるから、同人が不利益取扱いを受けたと認めることはできない。
2 会社の廃業及びこれに伴うX2の解雇は、同人が組合員であることを理由とする不利益取扱いか。
組合は、会社が売上げを伸ばす努力をせず、かえって売上げにつながる仕事に消極的であったとして、WEB対策費の削減、賃貸物件紹介誌の廃刊等を例示するが、これらは会社の経営判断によるものであって、必ずしもそれが不合理で意図的に売上げ減少を図った行為とまでは認められない。
組合は、会社の経営が悪化した時期に非組合員2名に対し大幅な昇給が行われたことなどについて、これらの行動は経営難の会社が取るべき行動ではありえず、背後には組合あるいは組合員排除の意図があったと主張するが、Y2はAやBから退職をちらつかせての強い昇給の要求があり、これに応じてきたものであり、経営者として毅然たる態度をとらなかったという個人的な弱さがあると推測できるものの、組合あるいは組合員排除のための意図的な経営悪化を企てて野放図な給料等の増額をしたとまで認めることはできない。
組合は、会社は廃業宣告以前に非組合員2名に対し別会社で雇用することを約束しており、これはX2を排除するために廃業したことの証左であると主張するが、会社と組合とがさほど険悪な関係にもなっていない状況で、会社が組合あるいはX2を排除するため廃業という究極の手段を取ろうとすることは考えられないものである。また、確かにY2とX2との人間関係は経営方針についての意見の相違等もあってぎくしゃくとしたものになっていたが、それはX2が組合に加入する前から継続していたものであり、仮にY2がX2を会社から排除したいと考えていたとしても、それはこのような人間関係によるものであり、同人が組合に加入していることが理由ではないと認めるのが相当である。さらに、非組合員2名の別会社での雇用については、検討するという程度の話であったと認めるのが相当であり、それも結局は社長の同意が得られず、全員が解雇されたのであるから、X2が不利益取扱いを受けたということはできず、これだけで会社の組合あるいは組合員排除の意思を推認することもできない。 |
掲載文献 |
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