概要情報
事件名 |
大阪府労委平成21年(不)第70号 |
事件番号 |
大阪府労委平成21年(不)第70号 |
申立人 |
X労働組合 |
被申立人 |
Y株式会社 |
命令年月日 |
平成22年12月10日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人会社が①申立人組合の組合員に対して、病気欠勤を理由とした解雇通知を行ったこと、②同組合員の労働条件等を議題とする団体交渉に誠実に対応しなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
大阪府労委は、申立てを全て棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てをいずれも棄却する。 |
判断の要旨 |
1 被申立人会社が組合員Eを解雇したことは、組合員であるが故に行われた不利益取扱いに当たるか。
申立人組合は、会社のゼネラルマネージャーFが当委員会に提出した平成21年7月7日付け及び7月16日付けの陳述書の記載から、これらの陳述書が作成された時期に会社がEの排除を検討していたのであり、それ故、本件解雇は病気欠勤が長期に及んだからではなく、Eが組合員であることを理由に行われたといえる旨主張する。しかし、これらの陳述書が作成された時点で、Eの欠勤期間は既に5か月近くに及んでおり、会社の就業規則には長期欠勤者は会社の判断により解雇を行う旨の規定があることを考慮すれば、この時期に会社が解雇を検討していたことについて、特に不合理な点は認められない。一方、この時期に会社がEの解雇を検討していた事実があるからといって、そのことがなぜ、Eが組合員であることを理由として本件解雇を行ったと主張する根拠となるのかについて、組合は何ら具体的な主張を行っていない。以上のことから、この点に関する組合の主張を採用することはできない。
当委員会によるあっせんが不調となった直後に会社が本件解雇を行ったことが明白な不当労働行為性を帯びている旨の組合の主張については、その具体的趣旨が不明であるが、会社がEの解雇を検討しつつ、あっせんによる解決可能性を探ったが、その可能性がないことがはっきりし、更に2か月の欠勤を示す診断書が届いた時点で本件解雇を行ったとしても、そのことをもって、会社がEに対し組合員であることを理由として本件解雇を行ったとみることはできない。
2 団体交渉における会社の対応は、不誠実であったか。
会社が団交において、その時点で判断困難な事項であるEの病気回復後の配置部署や、Eに職場復帰可能との診断が出た場合はどうするかなど直ちに実現することができない事項について組合から質問され、そのような仮定の話には答えられない旨述べたからといって、そのことをもって不誠実団交に当たるとまでみることはできない。
組合は、Fに団交権限が与えられておらず、無責任な交渉を繰り返した旨主張する。しかし、Fが終始回答をはぐらかしている事実は認められない。また、Fは、本件解雇について会社が就業規則に則って判断したとして当該部分を示して説明していることが認められ、組合の解雇撤回要求に対し、会社として決定したので撤回はできない旨回答しているが、これは、組合が解雇撤回を会社が検討すべきであるという主張の根拠も示さないまま、要望のみ行っている場面においての発言であるので、Fに交渉権限がないことを示す発言であるとは判断できない。 |
掲載文献 |
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