概要情報
事件名 |
大阪府労委平成21年(不)第12号 |
事件番号 |
大阪府労委平成21年(不)第12号 |
申立人 |
X労働組合 |
被申立人 |
株式会社Y |
命令年月日 |
平成22年11月15日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人会社が①合理的な理由なしに申立人組合の組合員を主任に昇格させず、同一営業所のもう1名の従業員を昇格させたこと、②夏期及び年末の賞与に関して、当該組合員に対して平均より低い査定を行い、平均より低い額を支給したこと、③団体交渉において昇格基準や評価に係る具体的な資料の提示や明確な説明等を行わず誠実に対応しないことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
大阪府労委は、申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てをいずれも棄却する。 |
判断の要旨 |
1 被申立人会社が申立人組合の組合員X2を主任に昇格させなかったことは、組合員であるが故に行われた不利益取扱いに当たるか。
会社の昇格制度は従業員の勤務成績、やる気等を総合的に勘案して昇格を決定するものであり、会社は営業職については営業成績の中でもとりわけ新規受注額を重視して評価を行っているが、X2の受注達成額及び新規受注額は主任に昇格したZ1のそれを大きく下回っており、X2の会社への貢献度がZ1よりも高かったとはいえない。また、組合は、X2の組合加入後、会社は受注が見込めそうな顧客はX2以外の社員に担当させるよう指示したり、X2の担当取引社数を減らしたりした旨主張するが、これらを認めるに足る事実の疎明はない。したがって、会社が組合を嫌悪した結果、その裁量の範囲を逸脱してX2を主任に昇格させなかったと認めることはできず、組合員であるが故の不利益取扱いであるとはいえない。
2 夏期賞与及び年末賞与について、会社がX2に対し、平均点を下回る評価を行い、平均支給額を下回る額を支給したことは組合員であるが故の不利益取扱いに当たるか。
X2の夏期賞与に係る賞与評価は30名の従業員の中で28番目、年末賞与については29名中27番目であり、年末賞与の評価期間における受注達成額は営業職7名中最下位であった。会社が組合を嫌悪した結果、X2に対し恣意的に低い賞与評価を行ったとは認めることができず、同人の夏期賞与及び年末賞与がそれぞれ20万円及び27万円であったことは組合員であるが故の不利益取扱いであるとまではいえない。
3 団交における会社の対応は、不誠実団交に当たるか。
会社は団交の議題である昇給、賞与及び主任昇格基準について、昇格の根拠、Z1を昇格させた根拠、昇格基準、賞与の評価、賞与の平均支給額、X2の賞与評価の点数等、組合の質問に対し、会社の考えを一定の根拠を示して説明しているとみるのが相当である。よって、会社の対応が不誠実であったとはいえない。 |
掲載文献 |
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