概要情報
事件名 |
大阪府労委平成21年(不)第74号 |
事件番号 |
大阪府労委平成21年(不)第74号 |
申立人 |
X労働組合 |
被申立人 |
株式会社Y |
命令年月日 |
平成22年11月9日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人会社が夏期一時金の支給金額等について、団体交渉において合意に達したことを否定し、申立人組合の求める協定書の締結を拒否したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
大阪府労委は、申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
6月18日に行われた団体交渉において、被申立人会社は申立人組合から回答・説明要求のあった事項のうちC組合員の夏期一時金の額について同社の賞与制度に基づいて説明し、組合は会社が提示した額を了解する意思表示を行った。しかし、その際会社が説明した内容は明確に査定制度を前提としたものであり、同人への支給額について、積算根拠となる部分を外した金額だけについての合意を認めることが可能か否かについて、当該団交で言及された事実は認められず、また、本件申立てにおける主張の中で組合は査定制度についての合意は形成されていないことを認めている。したがって、当該団交において、明確な対立点である査定制度について労使間で対立が残っていたこと、会社が回答したC組合員への支給額は団交を通じての譲歩や同意に基づいたものでないことを併せ考えると、組合と会社の間に支給金額について部分的にもそれによって権利義務が生じるような合意が成立したとみるのは困難である。
また、夏期一時金の支給日については、6月30日に支払うという会社回答に対して、組合が何らかの発言を行った事実は認められないのであるから、部分的にも合意が成立したとみることはできない。
なお、当該団交において組合は「この金額で合意したい。組合としては協定書という形で残したい。協定書を送るので押印の上、組合宛に返送してもらいたい」と要求しているが、会社人事部長はこれについて明確に否定も肯定もせず、判断を保留したとみることができる。
以上のことから総合的に判断すると、C組合員の夏期一時金の額と支給日に関して、当該団交において労働協約を締結するに足るほどの合意があったとまではいえないのであるから、これらの事項について、会社が協定書の締結を拒否したことをもって会社の対応が不誠実団交及び組合に対する支配介入であるとまで認めることはできない。 |
掲載文献 |
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