概要情報
事件名 |
島根県労委平成21年(不)第1号 |
事件番号 |
島根県労委平成21年(不)第1号
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申立人 |
A市現業職員労働組合 |
被申立人 |
A市 |
命令年月日 |
平成22年10月28日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人市が申立人組合に対して申し入れた「A市立学校給食センター(仮称)」の建設整備事業に係る交渉について、①市の不誠実な交渉態度は団体交渉拒否に、②市が団体交渉事項を組合の執行委員長に事前に説明しようとしたこと等は支配介入に、③市が団体交渉の過程で組合と締結した確認書を履行せず、労使合意が得られていないにもかかわらず同給食センターの建設整備事業に係る基本構想を議会に公表する旨の発言をしたことは誠実交渉義務違反及び支配介入にそれぞれ当たるとして、救済申立てがあった事件である。
島根県労委は、申立てをすべて棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 組合及び市は、それぞれ具体的に何を団体交渉の対象事項にしようとしたか。
組合と市は、かねてから民間委託・民営化の問題そのものを交渉の対象とするルールを定めて交渉し、管理運営事項の処理そのものについて合意する旨の確認書を締結してきており、それが当事者間の慣行となってきたことが認められる。本件団体交渉は、そのような慣行に従って、専ら公設民営化の是非そのものを対象事項として行われていたものと認められる。このように、専ら管理運営事項を対象として行われた本件交渉が地公労法第7条ただし書きに反することはいうまでもない。
2 市が、5月7日付け確認書又は8月31日付け確認書に違反した事実があったか。これらの事実があった場合に、それが誠実交渉義務違反又は支配介入に当たるか。
5月7日付け確認書は、市の権限によって処理すべき管理運営事項である公設民営化そのものに容喙し、市の権限を不当に制約するものといわざるを得ず、地公労法第7条ただし書きに反し、労働協約としての規範的効力を有するものとは認められない。したがって、仮に、市が同確認書に違反したとしても、それを誠実交渉義務違反又は支配介入に当たるとして法的救済を受けることはできない。8月31日付け確認書に関しても同様である。
3 市が公設民営化の理由について具体的な説明をしなかったこと等は誠実交渉義務違反又は支配介入に当たるか。
本件団体交渉が全体として違法であるとき、その一部を構成する各行為について、誠実交渉義務違反の成否を論ずる余地はないといわねばならない。このことを踏まえた上で、なお補足的に当事者の主張に沿って検討した場合でも、申立事実は誠実交渉義務違反又は支配介入には当たらない。 |
掲載文献 |
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