概要情報
事件名 |
大阪府労委平成20年(不)第24号及び同年(不)第56号 |
事件番号 |
大阪府労委平成20年(不)第24号及び同年(不)第56号
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申立人 |
X労働組合 |
被申立人 |
Y株式会社、株式会社Y2、Y3株式会社、Y4株式会社 |
命令年月日 |
平成22年10月22日 |
命令区分 |
却下、棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人会社Y及びY2は、同Y4から輸送業務の委託を受け、かつ同社とゼロ連結の関係にあったが、Y4は平成19年10月、ゼロ連結会社のうち一部を子会社化し、その他のゼロ連結会社については子会社となる会社との株式持合いを解消するとともに、自社との取引比率を引き下げることとした。その際、Y及びY2は子会社化の対象とされず、子会社化の対象となった会社が保有する自社(Y又はY2)の株式の譲渡先も見つからなかったことなどから、事業の継続を断念し、それぞれの株主の決議により解散することとなった。なお、Y3は子会社化する会社を統合するための準備を行う会社として設立されたY4の子会社である。
本件は、①Y及びY2が解散し、申立人組合の組合員が解雇されたこと、②被申立人会社が組合員の雇用のあっせんを行わなかったこと、③組合員の雇用に関する団体交渉について、Y及びY2が団体交渉を引き延ばすような不誠実な対応に終始したこと、及び④組合員の雇用に関する団交について、Y3及びY4が応じなかったことは不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件である。
大阪府労委は、Y3及びY4に対する申立てを却下し、Y及びY2に対する申立てをすべて棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人Y3及び被申立人Y4に対する申立てをいずれも却下する。
2 被申立人Y及び被申立人Y2に対する申立てをいずれも棄却する。 |
判断の要旨 |
1 平成20年2月4日から4月24日までの間に行われた5回の団体交渉において、被申立人会社Y及びY2の対応は不誠実であったといえるか。
Y及びY2は、申立人組合の要求に応じてY3に就労あっせんを要請し、その結果を説明していることなどから、一連の団交におけるY及びY2の対応が不誠実なものであったとはいえない。
2 Y及びY2の会社清算及び清算に伴う組合員の解雇は、不利益取扱い及び支配介入に当たるか。
Y及びY2が組合を嫌悪して会社解散を決定し組合員を解雇したということはできず、また、これら2社の解散が組合に対する支配介入に当たると認めるに足る疎明もない。よって、会社清算及びこれに伴う組合員の解雇は、不当労働行為には当たらない。
3 Y及びY2の会社清算及び清算に伴う組合員の解雇並びに組合員の就労あっせんについて、Y3及びY4はそれぞれ労組法上の使用者に当たるか。
本件申立て以前においては、Y3は事実上、Y4の一部門であったとみるのが相当であるから、Y3の使用者性についてはY4の使用者性と同一のものとして判断すべきである。
Y4は、Y及びY2と密接な関係にあり、それらの経営について一定の影響を及ぼし得る立場にあったといえるものの、従業員の労働条件等についてY及びY2と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあったとまではいえない。したがって、Y3及びY4は組合員の労組法上の使用者に当たるとまでいうことはできない。 |
掲載文献 |
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