労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成22年(不)第18号 
事件番号  大阪府労委平成22年(不)第18号 
申立人  X労働組合 
被申立人  株式会社Y 
命令年月日  平成22年10月19日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   被申立人会社が過去の労使紛争に関し裁判所で和解した後も団体交渉を拒否し続けるなど労働組合を敵視し、平成21年中に支給された特別一時金、夏季一時金及び年末一時金について、申立人組合の組合員1名に他の従業員よりも低い額を支給したことは不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は、会社に対し、上記組合員に対する上記特別一時金等についての、他の従業員との差額の支給及び組合への文書手交を命じた。
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員Dに対し、平成21年4月6日に支給された特別一時金について、既に支払った額との差額10,000円を支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人組合員Dに対し、平成21年7月30日に支給された夏季一時金及び同年12月28日に支給された年末一時金について、それぞれ、同人の基準内賃金に被申立人における一時金の支給総額(同人を除いて算出した額)を従業員の基準内賃金の総額(同人を除いて算出した額)で除して得られる数値を乗じて算出される金額と、既に支払った額との差額を支払わなければならない。
3 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
年月日
X労働組合
 執行委員長 B 様
株式会社Y
代表取締役 C
 当社が、貴組合員D氏に対し、平成21年4月6日に支給された特別一時金、同年7月30日に支給された夏季一時金及び同年12月28日に支給された年末一時金に関して、他の従業員に比して低い額を支給したことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
判断の要旨   平成21年4月6日に支給された特別一時金について、被申立人会社が申立人組合の組合員Dに対し一般従業員の平均支給額を10,000円下回る額を支給したことが認められる。また、平成21年7月30日に支給された夏季一時金及び同年12月28日に支給された年末一時金について、会社がその査定の内容を明らかにすることなく、組合員Dに対し一般従業員の平均支給額を下回る額を支給したことが認められる。
 組合と会社とは長らく対立関係にあり、会社が組合を引き続き嫌悪しているものと推認することができるから、会社が一時金の支給において組合員Dに対し他の一般従業員に比して低い額を支給したことは、一時金の支給について組合員を差別し、経済的に不利益に取り扱ったものと認めざるを得ない。また、会社は組合の主張に対して一切反論しておらず、上記一時金について合理的な理由により格差を設けて支給したとの疎明もない。
 以上から、上記一時金について、会社が組合員Dに対し一般従業員の平均支給額を下回る額を支給したことは、同人が組合員であるが故に行われた不利益取扱いに当たるものであり、労組法第7条第1号に該当する不当労働行為である。
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