労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  プラグ・イン(プラグ・インユニオン) 
事件番号  都労委平成20年(不)第54号 
申立人  連合ユニオン東京プラグ・インユニオン 
被申立人  株式会社プラグ・イン 
命令年月日  平成22年 9月21日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   被申立人会社が、同社の主催する俳優の養成組織に所属する申立人組合の構成員は同社との間で雇用契約関係がなく、労働組合法上の労働者には該当しないとの理由で団体交渉に応じなかったことが正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否かが争われた事件である。
 東京都労委は、正当な理由のない団体交渉拒否に当たると判断し、会社に組合への文書交付を命じ、その余の申立てを棄却した。
命令主文  1 被申立人株式会社プラグ・インは、申立人連合ユニオン東京プラグ・インユニオンに対し、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を交付しなければならない。
年月日
連合ユニオン東京プラグ・インユニオン
 執行委員長 X1 殿
株式会社プラグ・イン
代表取締役 Y1
 当社が、貴組合が平成20年6月12日に申し入れた、報酬の明細の開示及び授業料等に充当した報酬の返還を議題とする団体交渉に対し、貴組合員には労働組合法上の労働者該当性がないとの理由で応じなかったことは、不当労働行為に当たると東京都労働委員会において認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
 (注:年月日は文書を交付した日を記載すること。)
2 被申立人会社は、前項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。
3 その余の申立てを棄却する。
判断の要旨  1 プロダクション業務における労働者性について
 被申立人会社の経営する俳優の養成組織に所属する者(俳優)は、申立人組合の組合員を含め、会社に授業料等を支払いながら会社から演技指導やトレーニングを受ける一方で、会社からの紹介により、同社の顧客(クライアント)から依頼のあった俳優としての業務やイベントの司会、スタッフ作業等の業務(プロダクション業務)に従事し、報酬を得ていた。プロダクション業務における会社との関係で、組合員が労組法上の労働者に当たるか否かについては、次のように考えられる。まず、①会社は、俳優をプロダクション業務の労働力として恒常的に確保していたとみることができ、②組合員には会社からの同業務の紹介に対する諾否の自由を稀にしか行使できない関係にあったと認められ、③俳優業としては会社に専属していたといえることから、組合員は、同業務の遂行上、会社から直接指揮監督を受けてはいなかったものの、会社の事業組織に組み込まれていたと評価することができる。また、会社はクライアントとの契約に基づき組合員にクライアントの下で労務を供給させ、クライアントから得た報酬からマネジメント料を受け取っていた一方、組合員は報酬額を事前に知らされず、一方的に会社からマネジメント料を差し引かれ、時には未払いの授業料を天引きされるなどの待遇を受けていたところであり、以上のような状況下に置かれた組合員には、労働者が使用者と対等の立場に立って団体交渉をし、労働条件の改善を図るといった労組法の趣旨、目的に照らし、団体交渉の保護を及ぼす必要性と適切性が認められると解すべきであり、同法第3条の「労働者」に当たる。そして、組合員は、会社が請け負ったプロダクション業務について労務を供給する関係にあったといえるから、同法第7条第2号の「使用者が雇用する労働者」にも該当する。
2 報酬の明細の開示及び報酬の返還に関する団体交渉について
 本件組合員が労組法上の労働者に当たることは上記1のとおりであり、組合がプロダクション業務の報酬の明細の開示及び報酬の返還を求めて申し入れた団体交渉に対し、会社が組合員には労組法上の労働者該当性がないとの理由で応じなかったことは、正当な理由のない団体交渉拒否に当たる。
掲載文献  

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