労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]  [顛末情報]
概要情報
事件名  大阪府労委平成21年(不)第29号 
事件番号  大阪府労委平成21年(不)第29号 
申立人  X労働組合、X2労働組合 
被申立人  経営者団体Y 
命令年月日  平成22年 9月28日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   被申立人団体が2つのグループに分かれた複数の労働組合と団体交渉を行っている状況下において、①交渉の日程変更の申入れを申立人組合Xにのみ行い、X1と同一グループの組合である申立人組合X2には行わなかったこと、②申立人組合2労組から成るグループともう一方のグループとの間で賃上げ要求への回答時期に差を設けたことは不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は、上記②に関し被申立人団体に組合への文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。
命令主文  1 被申立人は、申立人らに対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
年月日
X1労働組合 様
X2労働組合 様
被申立人団体 会長
 当会が、平成21年度賃上げに関する貴組合らとの団体交渉において、別の労働組合との間で、回答時期に差を設けたことは、大阪府労働委員会において労働組合法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。

 2 申立人らのその他の申立てを棄却する。
判断の要旨  1 第4回共同交渉の日程変更を申立人組合X2に知らせなかったことは、労組法第7条第3号の不当労働行為に当たるか。
 被申立人団体YがX2に対し第4回共同交渉の日程変更を知らせなかったことは、単なる連絡上の不手際とみるのが相当であって、2労組に対する支配介入に当たるとまではいえない。
2 Yが2労組との共同交渉で、別労組らとの共同交渉では行った賃上げ回答を行わなかったことは、労組法第7条第2号及び第3号の不当労働行為に当たるか。
 Yは、2労組と別労組らのいずれに対しても、同業会社の事業団体Zの決議(上記労組の春闘要求に関連するもの)への同意を求めたところ、別労組らは特段の異議を唱えなかった一方で、2労組は異議を唱え、そのことが有額回答の時期の違いにつながったと主張する。しかし、交渉の経緯を見ると、①第7回共同交渉までの間に、Yが2労組に対し、有額回答の条件はZの決議への同意である旨明言し、交渉を行ったとする疎明はなく、また、②別労組に対して有額回答をした直後に行われた第8回共同交渉において、2労組に対し、見解を異にする点について具体的に譲歩や同意に向けての検討を求めたと認めるに足る疎明はなく、③2労組に有額回答をした第9回共同交渉までの間に、同労組がZの決議に関する見解を変更したとする疎明もなく、当該交渉においてYが有額回答をした理由は明らかでない。また、Yは第8回交渉において2労組に対して有額回答できない旨述べており、同一の対応を取らなかったことは明らかである。
 こうしたことから、Yは合理的な理由なく、平成21年度の賃上げの回答時期について2労組と別労組らとの間に差を設け、2労組との団交に誠実に応じず、2労組に対し支配介入を行ったとみるのが相当であって、かかる対応は、労組法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為である。
掲載文献  

[先頭に戻る]

顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成22年(不再)第58号 棄却 平成24年1月18日
 
[全文情報] この事件の全文情報は約225KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。