労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  Be遊 
事件番号  東京都労委平成21年(不)第8号 
申立人  全労協全国一般東京労働組合 
被申立人  株式会社Be遊 
命令年月日  平成22年 8月 3日 
命令区分  全部救済 
事件概要   申立人組合の組合員X1は、被申立人会社のグループ会社であるA社との間で業務請負契約を締結し、A社の事務所においてテレフォンアポインターの業務に就いていた。A社の事業廃止の発表に伴い、組合と会社はX1の業務請負契約の取扱いを巡り団交を行い、金銭的解決を目指すこととしたが、その後会社は交渉を打ち切った。組合は再度団交を申し入れたが、会社がこれに応じなかったことが正当な理由のない団交拒否に当たるとして申し立てられた事件である。
 東京都労委は会社に対し、①誠実団交応諾、②文書交付・掲示及び③履行報告を命じた。
命令主文  1 被申立人会社は、申立人組合が、組合員X1とA社との間の業務請負契約に関する団体交渉を申し入れたときは、これに誠実に応じなければならない。
2 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人組合に交付するとともに、同一内容の文書を55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の大きさの白紙に、楷書で明瞭に墨書して、会社内の従業員の見やすい場所に、10日間掲示しなければならない。

年月日
申立人組合
執行委員長 X2 殿
被申立人会社
代表取締役 Y
 当社が、貴組合が平成21年1月22日付けで申し入れた貴組合員X1氏とA社との間の業務請負契約に関する団体交渉に応じなかったことは、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
(注:年月日は文書を交付した日を記載すること。)
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3 被申立人会社は、前項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。
判断の要旨  1 テレフォンアポインターの労働者性について
 テレフォンアポインターは、A社の事業組織に組み込まれ、同社の業務運営上、恒常的に不可欠な存在になっていると認められ、その業務遂行上の主要な事項が、会社ないしA社の指揮命令の下で、一方的かつ定型的に決定され、その報酬は、労務の提供それ自体に対する対価とみるのが相当であるから、労組法上の労働者であると認められる。
2 会社の使用者性について
(1)A社は、実質的には親会社である会社の内部組織にすぎず、会社は、A社に対して、業務遂行はもとより、その存続自体にまで支配を及ぼしていたといえる。
(2)前記1から、アポインターがA社と業務請負契約を締結した上で業務を遂行していたとしても、その契約内容は労働条件に当たるといえる。そして、前記(1)から、会社は、X1ほかのA社のアポインターの労働条件について、現実的かつ具体的に支配し決定していたといえる。
(3)従って、会社は、本件団交に応ずべき使用者に当たる。
3 団交の拒否について
(1)前記1及び2から、会社は、組合からの団交申入れを正当な理由なく拒否できない立場にあるといえる。
(2)組合がX1とA社との間の業務請負契約の終了について争っていることは明らかであるから、 当該契約が終了していることをもって団交を拒否する正当な理由とはなし得ない。また、A社の事業廃止自体を直接の理由として団交を拒否することはできないと解するのが相当である。
(3)組合は、20年11月27日に誤って提示した解決金額を12月5日に訂正し、和解案の再検討を会社に依頼したのに対し、会社は交渉を打ち切ったが、この時点で、誠実な交渉が尽くされ、団交により解決する余地がなくなっていたとはいえない。
(4)金銭解決を目指した交渉は、X1の希望を満たすような職場の確保が困難であったことから、これに代わる解決策の一つとして検討されたものであるところ、21年1月以降は事情の変化が認められ、組合は1月22日付けで、改めてX1の雇用補償等を求めて団交を申し入れているのであるから、この点でも交渉が尽くされたものとはいえない。
(5)以上(1)ないし(4)を総合すれば、会社が、組合の1月22日付団交申入れに応じなかったことは、正当な理由のない団交拒否にあたる。
掲載文献  

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