概要情報
事件名 |
新東陸運 |
事件番号 |
中労委平成21年(不再)第9号
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再審査申立人 |
全国一般労働組合全国協議会北九州合同労働組合(ユニオン北九州) |
再審査被申立人 |
新東陸運株式会社 |
命令年月日 |
平成22年7月7日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
1 本件は、会社が、①組合員である会社の嘱託従業員Xとの有期雇用契約(平成19年1月15日から20年1月14日までの1年間を雇用期間とする契約)について、19年11月27日に雇止め通告を行い、20年1月14日をもって期間満了であるとして、これを更新しなかったこと、②Xが19年10月19日に組合に加入するにあたり、会社が従業員を使って同人の言動調査を行ったこと、が労組法7条の不当労働行為に当たるとして申し立てられた事件である。
2 初審福岡県労委は、本件申立てを棄却したところ、組合はこれを不服として再審査を申し立てた。 |
命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 本件雇止めは、Xが組合員であること等を理由とする不利益取扱いに該当するか、また、組合に対する支配介入に該当するか(争点1)について
(1)本件雇止めの合理性の有無について
Xには19年3月から4月の間、また9月から11月の間において、再三にわたり会社の所定休憩時間を大幅に超過して休憩を取るという業務懈怠と評価すべき事実があり、かつ、このような業務懈怠に対する配車係の注意指導等にも従わず、無視するような態度をとっていた事実がある。従って、会社が業務懈怠等を理由に本件雇止めをしたことには、相当の合理性がある。
(2)本件雇止めとXの組合加入の関連性の有無について
ア Xには組合加入前の19年3月から4月の間に長時間の休憩を取るという業務懈怠の事実が認められ、夏頃以降は電話連絡することなく帰社遅れを繰り返し、配車係の注意指導をほとんど聞かないという態度をとっていたことから、組合加入前の9月頃にはXの雇止めを決断するに至ったとする会社の主張は不自然とはいえない。
一方、Xは、組合加入の2か月前の19年8月14日にY部長代理の事情聴取を受けて以来雇止めを懸念し、組合分会長に組合加入について相談する中で、10月19日に組合に加入し、同月24日、組合は会社に通知したものである。
イ そうすると、本件雇止めとXの組合加入等の事実は近接しているものの、それぞれが別個に行われたものと判断すべきであり、会社は、Xの組合加入等を理由に本件雇止めの通告を行ったものとは認め難いといわざるを得ない。
また、会社は、19年11月28日の団交で、組合に対しXに対する本件雇止めの理由について説明し、Xの業務懈怠については、指導記録簿及び本件言動調査の内容により説明しており、相当程度誠実に応じていたことが認められる。 ウ 以上のことから、本件雇止めは、Xが組合員であること等を理由とする不利益取扱いということはできず、組合に対する支配介入に該当するということもできない。
2 本件言論調査の有無、仮に調査したとして、これが組合に対する支配介入に該当するか(争点2)について
本件言動調査は、会社がXの組合加入の動きを把握したことを契機として、19年10月24日の団交前日に、報告書の作成を指示し、実施されたものであるが、団交に際しての準備として労務管理上の観点から勤務状況を把握する必要があったとみるべきである。
また、本件言動調査内容は、Xの勤務態度等に関するものであり、これをもって組合の組織運営に対する支配介入を意図したものとまでみることはできない。
3 結論
以上のとおり、本件の争点1及び2については、いずれも不当労働行為には該当しないとした初審命令の判断は相当である。 |
掲載文献 |
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