概要情報
事件名 |
大阪府労委平成21年(不)第38号 |
事件番号 |
大阪府労委平成21年(不)第38号 |
申立人 |
X労働組合 |
被申立人 |
株式会社Y |
命令年月日 |
平成22年7月13日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人会社が、申立人組合の分会長X1との雇用契約を更新しなかったことが、不当労働行為であるとして申し立てられた事件である。
大阪府労委は申立てを棄却した。
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命令主文 |
本件申立てを棄却する。
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判断の要旨 |
争点:本件雇い止めが、組合員であるが故の不利益取扱いに当たるか。
1 会社は、本件雇止めは経営状況の悪化に伴うものであると主張する.。会社の営業利益等をみると、会社がリストラ策を講じなければならないような経営状況であると判断したとしても、不自然な点はない。
2 他の従業員の処遇についてみると、本件雇止めの数か月後ではあるものの、組合員以外にも雇止めになった嘱託社員や定年退職時に再雇用されなかった者がいること、また、正社員についても、本件雇止めの数か月前から、部分休業を行っていることが認められるから、X1に対してのみ、ことさら不利益な処遇がなされたともいえない。
3 確かに、組合は別件の不当労働行為救済申立てを行っていたところ、本件雇止めの直前に、この事件が関与和解で終結したことが認められるが、このことが本件雇止めと密接に関連していると認めるに足る疎明はない。また、本件雇止めの直前に、会社の従業員であった者数名が会社に対し、業務上吸い込んだアスベストが原因で胸膜プラークに罹患したとして慰謝料を請求したことが認められるが、当該元従業員は、この段階では組合に加入していなかったことが認められ、この慰謝料請求について、組合が主導的な立場に立って活動していたと認めるに足る疎明はない。
4 組合は、会社がX1及び組合を嫌悪していた証拠として、X1の退職金を低く算出したこと、等の6項目を挙げるが、これらの点をもって、会社がX1及び組合を嫌悪していたということはできない。
5 仮に、定年退職者を対象とした継続雇用制度が、一定の年齢まで嘱託社員としての契約を更新することを前提に導入されており、 X1についても、定年退職の時点では、63歳までの更新が想定されていたとしても、平成21年の時点では、会社がリストラ策を講じるのも不自然ではない経営状況にあって、組合員以外にも雇止めになった嘱託社員や再雇用されなかった者がいるのであるから、本件雇止めは、会社が、組合加入の如何によって、継続雇用制度の運用を変えた結果であるということはできない。
6 以上のとおりであるから、本件雇止めは、組合員であるが故の不利益取扱いに当たるとはいえず、会社の経営状況の悪化に伴うものであるというのが相当であって、この点に関する組合の申立てを棄却する。
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掲載文献 |
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