労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名 大阪府労委平成20年(不)第82号
事件番号 大阪府労委平成20年(不)第82号
申立人 X1職員組合、X2労組連絡協議会
被申立人 Y学園
命令年月日 平成22年6月14日
命令区分 棄却
重要度  
事件概要 本件は、被申立人学園が役職手当及び担任手当を議題とする申立人組合との団体交渉に誠実に対応しなかったことが不当労働行為に当たるとして、救済が申し立てられた事件である。
大阪府労委は、本件申立てを棄却した。
命令主文 本件申立てを棄却する。
判断の要旨 1 本件の争点
平成20年9月5日、同30日及び11月21日の団交における団交事項「役職手当・担任手当について」に係る学園の対応は、不誠実であったか。
2 争点に係る判断
(1)団交出席者について
組合は、従前より組合との団交を担当すると学園が説明していた法人本部は11.21団交直前に廃止されており、学園が、団交権限の有無が定かではない学園中学校長及び高等学校長を団交に出席させたことは不誠実な対応であると主張する。
確かに、同団交において学園側出席者が理事会の「代表ではない」旨発言したことが認められるが、当該発言は、「代表」が何を指すかについての認識が一致していない中での発言であって、一方で、理事長から権限を一任されている旨述べているのであるから、当該発言をもって、自らが交渉権限を有していないことを示したものとはいえない。
また、法人本部廃止以前の団交において、法人本部の職員が団交に出席していないことについて、組合から疑義や異議が出されたとの疎明もない。さらに、11.21団交が成立していることは、組合も認めており、団交の進行上、特段の支障があったともいえない。
以上のことから、11.21団交の学園側出席者の団交権限について問題はなく、この点に関する組合主張は採用できない。
(2)役職手当及び担任手当の増額が義務的団交事項に当たるか否かについて
学園は、手当は経営先決事項であり義務的団交事項に当たらない旨主張するが、役職手当及び担任手当は、学園の給与規程に定められた手当であることが認められ、本件申立てに係る団交議題である役職手当及び担任手当は、組合員の労働条件に該当し、義務的団交事項であることは明らかである。
また、学園は、組合員に有利となる労働条件は義務的団交事項に当たらない旨主張するが、労働者にとって有利となる労働条件の変更であっても、当該労働条件の内容の問題や他の労働条件への影響等が全くないとはいえないのであるから、義務的団交事項に当たると解するのが相当である。
(3)3回の団交における学園の対応について
学園は、本件団交議題について3回の団交に応じているところ、組合は、学園に手当倍増の財政的根拠を示す資料の提出を求めても、具体的根拠を説明せず、組合に手当倍増提案の是非を検討する機会を与えず、団交での協議の進行を妨害した旨主張する。
確かに、学園は団交において組合が納得するような資料を提出していないものの、役職手当及び担任手当を増額する趣旨及び経費的裏付けについて、学園の考えを一定の根拠を示して説明しており、また、11.21団交から本件申立てまでの間に、組合が文書の閲覧の申込みをし、これを学園が拒否したとの疎明もないのであるから、学園の対応が不誠実とまではいえない。
(4)結論
学園は、役職手当及び担任手当について開催された3回の団交を通じて、権限のある者を出席させ、一定の根拠を示して説明しているのであって、学園の対応は不誠実とまではいえない。
掲載文献  

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