労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名 大阪府労委平成21年(不)第16号
事件番号 大阪府労委平成21年(不)第16号
申立人 X労働組合
被申立人 Y株式会社
命令年月日 平成22年5月21日
命令区分 棄却
重要度  
事件概要 本件は、①被申立人会社が申立人組合を無視して組合員に直接退職勧奨を行ったこと、②団体交渉での合意事項を守らず、団交において決定権者を欠いたまま、十分な説明を行わなかったこと、がそれぞれ不当労働行為であるとして申し立てられた事件である。
大阪府労委は、申立てを棄却した。
命令主文 本件申立てをいずれも棄却する。
判断の要旨 1 争点1(会社が、平成20年7月17日、組合員X1に対し直接退職勧奨を行ったことは、組合に対する不利益取扱いに当たるとともに支配介入に当たるか。)
(1)組合は、X1の労働条件について組合が交渉権限を有し、会社もそれに異議を示さなかったのであるから、退職勧奨の前に組合と事前協議を行うべきであったところ、本人に直接退職勧奨をしたことが労組法3号にあたると主張する。
しかし、組合と会社との間で、組合員の労働条件等に関する事項についての事前協議約款は締結されておらず、その場合、組合が組合員の労働条件等に関して交渉権限を有しているからといって、直ちに、会社が組合と事前協議を行わなければならないわけではない。また、X1への退職勧奨にあたり、会社が組合に事前協議を申し入れるべきであったとする特段の事情があったともいえない。
以上のことから、X1に直接退職勧奨を行ったことは、労組法7条3号には当たらない。
(2)また、組合は、本件退職勧奨は組合に対する権利侵害であり、それはすなわち組合員全員に対する権利侵害であるから、労組法7条1号にもあたると主張するが、そのような主張は組合独自の見解であり、採用できない。
(3)以上のとおりであるから、会社がX1に対し直接退職勧奨を行ったことは、労組法7条1号及び3号の不当労働行為には当たらない。
2 争点2(X1の労働条件に関する労使間の一連の協議において、会社が取った対応は、不誠実団交に当たるか。)
(1)組合と会社は団交を4回開催し、その中で一定のやり取りを行っているのであるから、団交に対する会社の姿勢が直ちに不誠実であったということはできない。
そこで、団交における会社の対応が問題となるところ、組合は、会社が①団交での合意事項を無視する行為を繰り返したこと、②X1の労働条件について、組合に十分説明を行うことをせず、協議することもないまま、本件解雇を強行したこと、③決定権者を欠いたまま団交に対応してきたこと、がそれぞれ不誠実であったと主張する。
(2)しかし、①会社が、団交での合意事項について、これを無視する行為を繰り返してきたということはできず、会社の対応が不誠実であったとはいえない。
また、②会社は、団交での説明において、組合に十分説明を行うことをせず、協議することもないまま、本件解雇を強行したということはできず、会社の対応が不誠実であったとまではいえない。
さらに、③Y1マネージャーが団交に出席しなかったものの、会社の代表取締役としてY2社長が、また、管理職であるY3財務管理部長が交渉担当者として出席していたのであるから、会社の対応が不誠実であったということはできない。
(3)会社は、組合に対し、幾つかの譲歩案を提示したものの、組合との意見の相違から合意に至らなかったものであり、この点をみても、会社の団交での対応が不誠実であったということはできない。
(4)以上を総合すると、X1の労働条件に関する労使間の一連の協議において、会社が取った対応が不誠実であったとはいえないのであるから、労組法第7条2号の不当労働行為には当たらない。
掲載文献  

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