労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名 ラピュタ
事件番号 東京都労委平成20年(不)第31号
申立人 映画演劇労働組合連合会、映労連フリーユニオン・ラピュタ支部
被申立人 株式会社ラピュタ、株式会社ふゆうじょんぷろだくと
命令年月日 平成22年3月16日
命令区分 一部救済
重要度  
事件概要  本件は、①被申立人会社らの代表取締役Yが、申立人組合らや組合員について、「犯罪者」等と発言したこと、及びYが、組合員に対し、組合支部かラピュタ社かのいずれかを辞めるよう勧奨したり、新入従業員に対する組合支部への加入の勧誘を妨害する発言等をしたこと、②会社らが、組合ら及び申立外組合が申し入れた団体交渉の開催に応じなかったこと、③ラピュタ社が、組合員を含む一部の従業員に対して、19年夏季一時金を支給しなかったことが、それぞれ不当労働行為に当たるか否かが争われた事案である。  東京都労委は①組合らの組織及び運営に支配介入してはならないこと、②団交の誠実応諾、③文書交付・掲示、④前記③に係る履行報告を命じ、その余の申立てを棄却した。
命令主文 1 被申立人は、代表取締役による、申立人組合ら並びにその組合員を「犯罪者」、「X1を駄目にしたのは組合だ。」などと誹謗中傷する言動、また、申立人支部の組合員に対し、申立人支部からの脱退及び被申立人会社からの退職を勧奨したり、他の従業員に対する申立人支部への加入の勧誘を妨害する言動などを通して、申立人組合らの組織及び運営に支配介入してはならない。 2 被申立人株式会社ラピュタは、申立人組合らが職場環境の改善、組合員の労働条件等に関する団体交渉を申し入れたときは、これに誠実に応じなければならない。
3 被申立人会社ラピュタは、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人組合らに交付するとともに、同一内容の文書を55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の大きさの白紙に、楷書で明瞭に墨書して、同社内の従業員の見やすい場所に、10日間掲示しなければならない。


年  月  日 
映画演劇労働組合連合会
中央執行委員長  X2  殿
映演労連フリーユニオン・ラピュタ支部
執行委員長     X3  殿
株式会社ラピュタ
代表取締役     Y
当社代表取締役 Y が、貴組合及び貴組合員について「犯罪者」などと誹謗中傷したこと、貴支部の組合員に対し貴支部からの脱退及び当社からの退職を勧奨したり新入従業員に対する貴支部への加入の勧誘を妨害したりするなどしたこと、並びに当社が、貴組合が申し入れた職場環境の改善、組合員の労働条件等に関する団体交渉に応じなかったことは、いずれも不当労働行為であると東京都労働委員会において認定されました。
今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
(注:年月日は文書を交付又は掲示した日を記載すること。)
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4 被申立人会社ふゆうじょんぷろだくとは、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人組合らに交付するとともに、同一内容の文書を55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の大きさの白紙に、楷書で明瞭に墨書して、同社内の従業員の見やすい場所に、10日間掲示しなければならない。


年  月  日 
映画演劇労働組合連合会
中央執行委員長 X2  殿
映演労連フリーユニオン・ラピュタ支部
執行委員長    X3  殿
株式会社ふゆうじょんぷろだくと
代表取締役    Y
当社代表取締役 Y が、貴組合及び貴組合員について「X1を駄目にしたのは組合だ。」などと誹謗中傷したこと、貴支部の組合員に対し貴支部からの脱退を勧奨したこと、並びに当社が、貴組合が申し入れた職場環境の改善、組合員の労働条件等に関する団体交渉に応じなかったことは、いずれも不当労働行為であると東京都労働委員会において認定されました。
今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
(注:年月日は文書を交付又は掲示した日を記載すること。)
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5 被申立人会社らは、第3項及び第4項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。
6 その余の申立てを棄却する。
判断の要旨 1 Yの組合ら及び組合員に関する言動について Yは、組合支部が結成を通告して以降、組合ら及び組合員について、様々な言辞で非難し続けてきた事実が認められる。本件申立て前の1年間の言動をみると、強烈な言辞で支部結成及び組合活動を非難し、組合員を誹謗するものであって、職場におけるこのような言動は、円滑な業務遂行を妨げ、組合員に多大な不快感と精神的苦痛を与えるものであり、ひいては組合らの団結及びその活動にも重大な影響を及ぼすものである。したがって、Yの言動は、組合員に対する不利益取扱いに当たると同時に、組合らの運営に対する支配介入に当たる。
2 組合員に対する脱退勧奨及び退職勧奨、新入従業員の支部への勧誘妨害等について平成19年9月、組合が「ラピュタ緊急支援集会」の開催告知のチラシを関係組合等に配布して以降のYの発言をみると、組合員に対して、直接又は間接に支部からの脱退を迫るなど、いずれも、組合らの弱体化を意図した、組合らの組織及び運営に対する支配介入に当たることは明らかである。
3 団交の拒否について
(1)19年7月27日付団交申入れの不応諾について、会社らは、組合支部執行委員長X3が出席すると正常な交渉を行い得ないと考えたためと主張するが、その具体的な根拠を示していないことから、この主張は採用できない。また、組合らの文化破壊から映画館の上映活動を守るためだったとも主張するが、そのような事実を認めるに足る疎明はない。
(2)20年2月8日付団交申入れの不応諾について、会社らは、当時業務が極めて多忙であったため回答が準備できなかったと主張するが、組合らの督促に一切回答せず、遅延の理由を説明しようとした事実も認められないこと、及び前記(1)の判断を考慮すれば、真の意図は組合らとの交渉の回避にあったとみなさざるを得ない。
これらの会社の対応はいずれも、正当な理由のない団交の拒否に当たるといわざるを得ない。
4 ラピュタ社に所属していた組合員に対する19年夏季一時金の不支給について
少なくとも19年夏季一時金支給期において、X3らが、組合員でなかったらラピュタ社から同一時金を支給されていたであろうと認めるには足りないといわざるを得ない。したがって、ラピュタ社が、同社に所属していた組合員に対して19年夏季一時金を支給しなかったことは、組合員に対する不利益取扱いであるとは認められない。
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