労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]  
概要情報
事件名 兵庫県労委平成21年(不)第5号
事件番号 兵庫県労委平成21年(不)第5号
申立人 X労働組合
被申立人 Y株式会社
命令年月日 平成22年3月29日
命令区分 棄却
重要度  
事件概要  本件は、被申立人会社が、申立人組合の組合員X1に対して発した休職命令が不当労働行為であり、また当該休職命令等について組合の申し入れにより実施された団体交渉の第3回及び第4回目において、X1の直属の上司である管理職等にある者を出席させなかったことが不当労働行為であるとして、救済申立てがなされた事件である。 
 兵庫県労委は、本件申立てを棄却した。
命令主文 本件申立てを棄却する。
判断の要旨 1 争点1(本件休職命令は、X1が組合員であるが故に行われた不利益取扱いに該当するか。)
(1)組合は、本件休職命令について、会社が、X1に係る労働組合加入通知書を受け、本件事前折衝を行っていたにもかかわらず意図的に組合を軽視し、一方的に発した合理性のないもので、X1による労基署への申告に対する報復として、不当労働行為意思をもって行った不利益取扱いに該当すると主張する。
(2)しかし、会社が、従業員の健康管理を行う立場として、X1が療養に専念できる環境を作ることが必要だと判断し、本件休職命令を発令したことについては、合理的理由が存するということができる。
(3)また会社は、X1が組合員であることは認識していたと認められるが、X1による労働基準監督署への申告を組合活動としてとらえ、これを嫌悪して報復を企図したとまで見ることは困難である。
(4)会社の専務Y1が、X1は組合員である前に会社の従業員であり、従業員のX1に対して業務命令として発令している旨の発言をしたことは、反組合的意志に基づく発言とまでは認められず、この発言をもって、直ちに会社の不当労働行為意思を推認できるとまではいえない。
(5)以上のことから、本件休職命令は、X1が組合員であるが故に行われた不利益取扱いであるとはいえない。従って、労組法7条1号には該当しない。
2 争点2(会社は、本件団交において、誠実に対応したか。)
(1)組合は、会社が提案した団交ルールの内容は、労働組合を異常なまでに警戒するもので、会社に誠実性が欠けていることの現れであると主張する。
しかし、会社による団交ルールの提案は、団交を効率的に行おうとし、そのことについての組合の意向を確認したにすぎず、その内容も特段不合理とはいえない。
(2)組合は、団交を代理人弁護士に委任するなどして、X1の直属の上司である管理職等にある者を出席させなかったことや、代理人弁護士が交渉経緯を無視した発言を行ったことにより、交渉が妨げられたと主張する。
しかし、使用者は、誠実交渉義務の一内容として、交渉権限のある交渉担当者を団交に出席させることが求められるが、そのような者である限り、誰を出席させるかは使用者の裁量に属するというべきであり、必ずしも常に組合員の上司である管理職等にある者を出席させる必要があるということはできない。本件では従前、団交ルールは定められておらず、組合が会社に対し、代理人弁護士に交渉を委任せず、X1の直属の上司である管理職等にある者に交渉に応じるよう求めた事実も認められない。
また会社が、X1の直属の上司である管理職等にある者を出席させなかったことによって、交渉を妨げたとはいえず、会社の対応が不誠実ということはできない。
(3)以上のことから、本件団交における会社の対応は、労組法7条2号には該当しない。                  
掲載文献  

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約217KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。