労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]  
概要情報
事件名 中央大学
事件番号 東京都労委平成19年(不)第88号
申立人 Y大学教員組合
申立人 Y大学職員組合
申立人 Y大学附属高等学校教員組合
申立人 Y大学附属S高等学校教員組合
被申立人 学校法人Y大学
命令年月日 平成22年1月12日
命令区分 一部救済
重要度  
事件概要  学校法人Y大学では、一時金(賞与)について、Y大学教員組合、Y大学職員組合、Y大学附属高等学校教員組合及びY大学附属S高等学校教員組合(以上の4つの組合を総称して「4組合」が春闘時に統一して支給月数の要求をし、団体交渉を行ってきた。
 平成3年度からは、妥結した後に4組合と大学との間で協定を締結するようになり、17年度までの間、年間支給月数を6.8か月として毎年妥結してきた。
18年度春闘要求において、18年4月、4組合が一時金の支給月数を6.8か月で要求したところ、大学は、これを6.3か月とする回答を行ったため、4組合は、その根拠について説明を求めた。これに対して大学は、財政状況の悪化及び経営体質の強化を理由として、決算資料などによって説明した。4組合は、根拠が具体的でないと反論し、併せて将来の投資計画等に関する資料を求めたが、大学は、6月に支給月数を6.5か月まで譲歩したものの、具体的な資料の提示には応じなかった。その後、4組合は、10月、確認書の交換を条件に収束することを提案したが、確認書の内容を詰める交渉も平行線となったため、19年2月、再度6.8か月で要求したところ、大学は、「確認書の協議を継続すべきである。」などとして、再度の要求についての協議に応じなかった。結局、18年度中に妥結に至らず、4組合は、19年4月、19年度春闘要求として、19年度一時金を6.8か月で要求し、団体交渉を申し入れたが、大学は、「18年度一時金についての交渉を優先すべきである。」などとして、これに応じなかった。4組合は、5月、18年度一時金に関する要求を19年度春闘要求に組み入れ、それ以降、4組合と大学との間で団体交渉が行われたが、両者の見解が対立したまま、妥結には至らなかった。
 本件は、18年度及び19年度春闘要求に係る団体交渉における大学の対応が不誠実であったか否か、また、18年12月から19年5月までの間、大学が「確認書の協議を継続すべきである。」との姿勢をとったこと及び19年度春闘要求に対して「18年度一時金についての交渉を優先すべきである。」との姿勢をとったことが、正当な理由のない団体交渉の拒否に当たるか否かが争われた事件である。
 初審東京都労委は、学校法人Y大学に文書交付及びその履行報告を命じ、その余の申立てを棄却した。
命令主文 1 被申立人学校法人Y大学は、申立人Y大学教員組合、同職員組合、同附属高等学校教員組合及び同附属S高等学校教員組合に対し、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を交付しなければならない。

                       記
                                          
                                           年 月 日
Y大学教員組合
委員長 X1 殿
Y大学職員組合
委員長 X2 殿
Y大学附属高等学校教員組合
委員長 X3 殿
Y大学附属S高等学校教員組合
委員長 X4 殿
                                       学校法人Y大学
                                       理事長 Y1

 当大学が、平成18年度及び19年度春闘要求における一時金に関して貴各組合との間で行った団体交渉において、一時金の回答理由についての説明に不十分な点があったことは、不当労働行為に当たると東京都労働委員会において認定されました。今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
(注:年月日は文書を交付した日を記載すること。)
2 被申立人大学は、前項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。
3 その余の申立てを棄却する。
掲載文献  

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約333KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。