概要情報
事件名 |
鉄道建設・運輸施設整備支援機構外9者 |
事件番号 |
中労委平成19年(不再)第43号 |
再審査申立人 |
全国金属機械労働組合港合外3組合、個人3名 |
再審査申立人 |
個人1名・国・外8者(うち7者は、JR各社) |
命令年月日 |
平成19年12月5日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、(1)平成17年11月20日に放送されたNHKのテレビ番組における再審査被申立人X1の発言(11.20発言)は、国鉄労働組合を崩壊させるために日本国有鉄道の分割・民営化を計画し、実行したというものであり、また、(2)11.20発言が憲法及び労働組合法を無視したものであるにもかかわらず、この発言について国、鉄道・運輸機構並びにJR各社が黙認し、放置しており、これは再審査被申立人らの威圧による団結権破壊であって、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であるとして、大阪府労働委員会に、救済申立てを行った事件である。 |
命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
(1) X1、国及び鉄道・運輸機構の使用者性について 労働組合法は、労働者が使用者との交渉において、対等な立場に立つことを促進することを目的とするものであり(1条)、不当労働行為制度も同法がその一環として規定したものであるから、同法第7条の「使用者」は、労働契約関係又はそれに準じた関係を基盤として成立する団体的労使関係における一方当事者をいい、そのような関係にない者はこれを含まないと解すべきである。 本件についてみると、X1、国及び鉄道・運輸機構は、再審査申立人らとの関係において、労働契約関係又はそれに準じた関係にないことは明らかである。 したがって、X1、国及び鉄道・運輸機構は、再審査申立人らとの関係で労働組合法第7条の「使用者」に当たらないことは明白であり、X1、国及び鉄道・運輸機構に対する本件救済申立ては、労働委員会規則第33条第1項第5号にいう「申立人の主張する事実が不当労働行為に該当しないことが明らかなとき。」に該当する。 (2) JR各社の被申立人適格 再審査申立人らは、JR各社のためになされ、その利益を代表してなされたX1の介入行為について、JR各社が不当労働行為責任を負うことは不合理ではなく、JR各社は11.20発言を暗黙裏に了承していることからすれば、実質的にはJR各社の行為とみるのが適切である旨主張する。 しかしながら、11.20発言は、自民党と社会党の対立を軸とした55年体制の崩壊に至る経緯を回顧して述べたものに過ぎず、JR各社とは無関係になされた発言であり、しかも、労働組合法第7条が規制の対象にする団体的労使関係上の主体たる地位においてなされた行為でないから、不当労働行為の問題を生じさせるものでもない。 したがって、JR各社に対する本件救済申立ても、労働委員会規則第33条第1項第5号にいう「申立人の主張する事実が不当労働行為に該当しないことが明らかなとき。」に該当する。 (3) 以上のとおり、X1、国、鉄道・運輸機構及びJR各社に対する本件救済申立てをいずれも却下した初審の判断は相当であり、本件再審査申立ては理由がない。 |
掲載文献 |
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