労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日米英語学院 
事件番号  大阪府労委平成15年(不)第91号 
申立人  ゼネラルユニオン 
被申立人  株式会社日米英語学院 
命令年月日  平成18年 6月 7日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  本件は、学院が、(1)組合が3次にわたて申し入れた、組合員の賃上げ及び講師評価制度の廃止等を議題とする団体交渉に誠実に応じなかったこと、(2)組合及び組合員を誹謗中傷する文書を生徒に配布したこと、(3)組合員のグループレッスンの担当を取り上げたこと、(4)組合員に懲罰的労働を強制したこと、(5)組合支部長らの冬期休暇を同人の同意なしに年次有給休暇として取扱い、年次有給休暇日数を超過した日数分の賃金カットを行ったこと、(6)組合員の配置転換に係る労働委員会のあっせん協定を遵守しなかったこと、(7)組合員に組合脱退工作を行ったことが不当労働行為であるとして、争われた事件である。  大阪府労委は、学院に対し、(1)賃上げを議題とする団体交渉への経営状況等を示す資料を提示しての誠実応諾、(2)文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人から申入れのあった、平成15年2月21日付け、同年5月29日付け及び 同年10月6日付け要求書記載の賃上げに関する団体交渉に、経営状況等を示す資料を提示し て、誠実に応じなければならない。

2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
                    記
                                 年  月  日
 ゼネラルユニオン
  委員長    X1    様
                           株式会社日米英語学院
                            代表取締役    Y1
  当社が、賃上げに関する団体交渉において貴組合に経営資料等を提示せず団体交渉を誠実 に行わなかったこと、組合員がストライキを行った平成15年4月ないし9月に組合を誹謗中 傷する表現を含む「お詫びとお知らせ」と題する文書を生徒に対し配布したこと、及び非組 合員に対して組合加入を妨げる発言をしたことは、大阪府労働委員会において、労働組合法 第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められました。
 今後このような行為を繰り返さないようにいたします。

3 申立人のその他の申立ては、いずれも棄却する。 
判定の要旨  2240 説明・説得の程度
組合の賃上げ要求に関する団体交渉において、会社が要求に応じられない理由の一つに経営状況が厳しい旨を挙げており、組合が会社に具体的な資料を提示して説明するよう求めているにもかかわらず、一貫して資料を提示して説明していないこと等から、会社の対応は労組法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとされた例。

1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
生徒から苦情が寄せられていたX2支部長ら3名の組合員をグループレッスンから外したこといついて、会社が生徒に対する影響を最小限度に抑え、授業解約等を回避し、会社の業務を円滑に行うために同人らから他の講師に担当を変更し、グループレッスン手当も不支給したが、同人らは引き続き講師の本来業務を行っていたとみるべきで、会社の行為は組合員を不利益に取扱い、組合弱体化を図ろうとした不当労働行為であると見ることはできずこの点に関する組合の申立ては棄却するとされた例。

2803 その他
フリールームは、U校のフロアと廊下を挟んだ向側のトイレに隣接した位置にあるものの、同ルーム内には社長室等も置かれており、また人通りについては社長室等に出入りする場合も同ルームにいったん入室しなければならず、これらのことをもって同ルーム内での作業に見せしめ的な要素が強いとまではいえないため、この点に関する申立ては棄却するとされた例。

2620 反組合的言動
3106 その他の行為
会社が生徒に配布した文書において、組合名を具体的に挙げ、組合及び組合員を誹謗中傷する表現を用いることで同文書を読んだ生徒に、組合及び組合員に対して嫌悪感を抱かせるとともに、他方、組合員に対して組合脱退の意思を生起させるなどの打撃を与え、もって組合弱体化を意図したものとみるのが相当であり、かかる会社の行為は労組法第7条第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。

1600 休暇の取扱い
組合支部長X2及び組合員X3の冬期休暇は当初から有給休暇とみなされ、有給休暇を自由に取得できる旨の労使合意により会社が休暇申請書の様式を定め、それに基づき、有給休暇を申請するよう同人らに求めていたとみるべきであって、組合が主張する有給休暇とは別の冬期休暇が認められていたとの事実の疎明もないことから組合の主張は採用できず、この点に関する組合の申立ては棄却するとされた例。

1300 転勤・配転
組合員X4の配転について、15・9・29指示は複数の勤務先の内の一つの勤務を、すでに勤務している別の勤務先で行うよう指示したものであり、あっせん協定3条でいう配転には該当しないと解すべきであって、また組合は現に15・7・3支持については抗議しなかったことからみても、勤務場所の一部変更については同協定3条にいう配転であると解釈していたとは認められず、会社が同協定3条の趣旨に反して組合と事前協議することなく同人に対する勤務先の一部変更を行ったとはいえないので、この点に関する組合の申立ては棄却するとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
支部長X2及び副支部長X5に対する副学院長Y2の言動及び非組合員講師Z2に対する発言はいずれも組合を誹謗中傷し、暗に組合脱退を慫慂するものであり、また同発言を聞いた非組合員に組合に対する悪印象を与え、もって組合加入を妨害する不当労働行為であるとの組合の主張については、Y2の発言は根拠なくX2らを誹謗中傷するもので、非組合員に対し、組合員に対する不信感や嫌悪感を抱かせ、暗に組合加入を妨げるものとみるのが相当であり、労組法第7条第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献   
評釈等情報   

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