事件名 |
第11伏見織物加工 |
事件番号 |
京都府労委平成17年(不)第3号
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申立人 |
京都-滋賀県地域合同労働組合 |
被申立人 |
伏見織物加工株式会社 |
命令年月日 |
平成18年 5月23日 |
命令区分 |
棄却(命令主文が棄却のみ又は棄却と却下) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、(1)組合に加入しないことを雇用条件としたこ
と、(2)退職者X1を退職金名目で買収することにより組合を脱退させたこと、(3)顧問Y1が別件事件で虚偽証言をしたこ
と、(4)(3)において、組合を労働組合とは認めない旨の証言をしたこと、(5)組合事務所等に係る施設使用について別組
合と対等に処遇していないこと、(6)団交拒否をしたことが不当労働行為であるとして、争われた事件である。
京都府労委は、本件申立てを却下又は廃却した。 |
命令主文 |
1 申立人の救済申立てのうち、次の各救済申立てを却下する。
(1)労働組合法第7条第1号に係る救済申立て(申立人に加入しないことを雇用条件としてきた旨の申立てに係るものを除
く。)
(2)平成8年10月の被申立人のX1に対する退職金支払についての同条第3号に係る救済申立て
(3)別紙記載の1から4までの事項についての同条2号の団体交渉拒否及び当該団体交渉拒否による同条第3号の支配介入に
係る申立て
2 申立人のその余の救済申立てを廃却する。 |
判定の要旨 |
1501 黄犬契約
組合は、会社が雇入れ前の労働者に対して組合に加入しないことを雇用条件としたことは不当労働行為であると主張するが、Y1
顧問が組合の主張するような趣旨の発言をしたと認めることは困難であり、また組合も当該発言をされた組合員を具体的に特定す
ることができないことから、この点に関する組合の主張は採用できないとされた例。
5200 除斥期間
組合は、会社がX1を退職金名目で買収することにより組合を脱退させたことは不当労働行為である旨主張するが、当該行為は平
成8年10月の行為であることは組合も自認するところであり、労働法第27条第2項の除斥期間を経過したものとして却下する
とされた例。
3106 その他の行為
審問における証言が不当労働行為となるのは、組合弱体化の目的を持ってことさらに虚偽の証言を行うなど証言制度の趣旨にもと
る行為と認められるような場合に限られると解され、会社の就業規則は臨時職員に対して退職金を支給しない旨規定していると認
められるところ、Y1の証言は、X1の退職時は臨時職員であったが、正社員の期間が長かったために退職金を支払ったとの趣旨
を述べたものと解されるから虚偽の証言とは言い難く、またこれらの証言が組合弱体化を目的としたとは認めるべき事情もないこ
とから、この点に関する組合の主張は採用できないとされた例。
5008 その他
組合は、Y1が中労委で証人として組合を労働組合とは認めない旨の証言をしたことは労働法第7条第1号及び第3号に該当する
と主張するが、同条一号にいう不利益取り扱いには労働組合に対する不利益取扱いは含まれないと解するのが相当であり、同号に
ついての申立ては却下し、また同条第3号の申立てについては、Y1の証言はユニオン・ショップ制度を誤解したこと等によるも
ので、虚偽の証言や組合弱体化を目的とした証言とも認められず、この点に関する組合の主張は採用できないとされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
施設使用について会社が他組合と対等に処遇していないことは労組法第7条第1号及び第3号に該当すると組合は主張するが、前
記のとおり同条第1号についての申立ては却下し、また同条第3号の申立てについては、会社と労働契約関係にはない2名以外に
組合員の存在を組合は主張しないので、会社が組合に組合事務所等の施設使用を認めないとしても合理的理由があるというべきで
あり、本件申立ては棄却するとされた例。
2247 解決済
組合が申し入れた団交事項を会社が拒否したことについて、当該団交事項は別件事件で判断した事項と同一であること、若しくは
交渉事項に係る不当労働行為は存在しないと判断されるところであるから、本件申立ては却下又は棄却するとされた例。
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業種・規模 |
繊維工業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
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