概要情報
事件名 |
大阪京阪タクシー |
事件番号 |
大阪府労委平成16年(不)第35号
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申立人 |
大阪京阪タクシー新労働組合 |
被申立人 |
大阪京阪タクシー株式会社 |
命令年月日 |
平成18年 5月23日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、(1)賃金体系に係る協定を遵守しなかったこと、(2)春闘要求に係る団体交渉に誠実に応じなかったこと、(3)労働条件の改定について申立人との合意に至らないまま、これを実施したこと、(4)ファミリーレクリエーションとしての1万円程度の商品券等の支給を一方的に廃止したことが不当労働行為であるとして、争われた事件である。 大阪府労委は、会社に対し、(1)賃金体系に係る協議について誠実に対応すること、(2)(1)に関する文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人との間で賃金体系に係る協議を行うに当たっては、誠実に対応しなけ ればならない。 2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。 記 年 月 日 大阪京阪タクシー新労働組合 代表者 執行委員長 X1 様 大阪京阪タクシー株式会社 代表取締役 Y1 当社が、貴組合と結成した平成15年7月11日付け協定書第6項記載の事項を遵守しなかっ たことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2号及び第3号に該当する不当 労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。 3 申立人のその他の申立ては、いずれも棄却する。 |
判定の要旨 |
2305 労働協約との関係
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
15・7・11協定第6項の遵守については、会社は、組合が提起した賃金体系について真摯に協議した上で、合意に達するよう努力すべきところ、同協定記載の期限までに合理的理由もなく何ら積極的な対応をしないまま暫定期間を徒過し、その後は、提示した資料の持帰りを認めないなど組合に十分な検討の機会も与えず、不誠実な対応をしたというべきで、このことは暫定期間終期の平成15年12月10日の時点で同協定第6項を遵守しなかったことを意味するものであり、労組法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。
2240 説明・説得の程度
2243 対案不提出
会社は、組合の16年春闘要求に係る団体交渉に先立ち、経営改善対策案を組合に提出しており、同団交での組合からの同案の修正要求に対しても、その後開催された労使協議会において第二案を提示していることから、16年春闘要求に係る会社の団体交渉に関する一連の態度は不誠実とはいえず、この点に関する申立ては棄却するとされた例。
2251 一方的決定・実施
会社は組合の合意を得ずにサバイバルPLANを実施したと認められるが、それまでに団体交渉、労使協議会及び折衝を重ねており、組合提案の賃金改定案についても二度にわたってシミュレーション結果を説明するなど、交渉内容もおおむね誠実であったと認められ、それらの団体交渉等を重ねた上でやむを得ず組合の同意なしにサバイバルPLANを実施したことは不当労働行為とまではいえないとされた例。
1601 福利厚生上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社は、経営改善の必要上、ファミリーレクリエーションの廃止提案を含む労働条件等について組合と協議を行ったものの合意にまでは至らず、組合の同意を得ずに停止したとみるのが相当であって、会社によるファミリーレクリエーションの停止は、15・7・11協定を無にするものとはいえず、また97秋闘に関する協定に違反しているとも組合の弱体化を企図したものともいうことはできないとされた例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
 
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