労働委員会命令データベース

(こ の事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]  [顛末情報]

概要情報
事件名  ナック 
事件番号  東京都労委平成17年(不)第92号 
申立人  全日本建設交運一般労働組合東京都本部南部支部ナック分 会 
申立人  全日本建設交運一般労働組合東京都本部 
申立人  全日本建設交運一般労働組合東京都本部南部支部 
被申立人  株式会社ナック 
命令年月日  平成18年 6月 6日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  本件は、組合員が分会を結成したことを会社に通告したところ、 (1)会社が、組合の存在を否定するような言動を行い、組合に加入することを牽制し、組合からの脱退を慫慂したこと、(2) 会社が、従業員会を利用して組合を排除しようとしたことが不当労働行為であるとして、争われた事件である。
 東京都労委は、会社に対し、(1)組合の存在の否定、組合加入牽制及び脱退慫慂の禁止、(2)従業員会を利用した組合排除 及び弱体化を図ることの禁止、(3)(2)及び(1)に関する文書掲示を命じた。 
命令主文  1 被申立人株式会社ナックは、代表取締役Y1ら役員が管理職及び 外務員を含む従業員に対して「建交労という組合を認めるわけにはいきません。」、「この組合は断固排除しなければならな い。」、「Y1の敵は許さない。建交労といえど許さない。」などと述べ、あるいは組合員に対して「建交労だけはやめてく れ。」、「団体交渉には出ないでくれ。」などと述べ、又は「組合員にはだれがいるのか。」と尋ねることなどによって、申立人 組合らの存在を否定し、又は申立人組合らに加入することを牽制し、若しくは組合からの脱退を慫慂してはならない。
2 被申立人会社は、申立外従業員会を利用して、被申立人会社から申立人組合らを排除し、 申立人組合らの弱体化を図っては ならない。
3 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、代表取締役の記名捺印した下記内 容の文書を申立人組合らに交付す るとともに、55センチメートル×80センチメートル(新聞 紙2頁大)の大きさの白紙に、下記内容を楷書で明瞭に墨書し て、被申立人会社内の従業員 の見やすい場所に20日間掲示しなければならない。
                    記
                                 年   月   日
 全日本建設交運一般労働組合東京都本部
 執行委員長 X1  殿
 全日本建設交運一般労働組合東京都本部南部支部
 執行委員長 X2  殿
 全日本建設交運一般労働組合東京都本部南部支部ナック分会
 執行委員長 X3  殿
                             株式会社ナック
                             代表取締役  Y1
  当代表取締役 Y1 ら役員が管理職及び外務員を含む従業員に対して「建交労という組 合を認めるわけにはいきませ ん。」、。」、「この組合は断固排除しなければならない。」、「Y1の敵は許さない。建交労といえど許さない。」などと述 べ、あるいは貴組合 の組合員に対して、「建交労だけはやめてくれ。」、「団体交渉には出ないでくれ。」などと述べ、又は 「組合員にはだれがいるのか。」と尋ねるなどしたこと、及び当社が従業員 会を利用することによって、貴組合らを当社から排 除し、貴組合らの弱体化を図ったことは、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。
  今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
   (注:年月日は文書を交付又は掲示した日を記載すること。)
4 被申立人は、前項を履行したときは速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。
判定の要旨  4825 その他
外務員は、会社の組織及び業務運営に組み込まれているとはいえ、業務の受託を断ることはほとんどできず、業務遂行に当たって 厳格な管理を受け、会社の受託業務に専属的に従事しており、その結果受領する報酬は労務提供に対する対価と見ざるを得ないの であるから、労組法上の労働者と認めることができるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
平成17年12月4日、5日、10日及び19日のY1社長の言動並びに同月5日のY2支社長の言動は、いずれも会社内に組合 ないし分会が存在すること自体を認めようとせず、会社から組合ないし分会を放逐してその影響力を遮断する意図に基づいてお子 なた言動であると同時に、組合ないし分会への従業員の新たな加入を牽制し、又は既に加入した組合員に対する組合からの脱退の 慫慂の趣旨を含むものというべきであって、組合ないし分会の影響力の拡大を阻止し、あるいはその縮減を意図した言動であると 評価することができるのであるから、いずれも組合の組織・運営に対する支配介入に該当するとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
会社は、従業員会が設立の趣旨とした従業員間の親睦と社内交流の促進を逸脱して、従業員会に組合の対抗勢力としての役割を担 わせ、これへの加入を要請し、さらには入会を拒まれた組合員以外の従業員で開催した設立大会に出席した者に手当てを支払い、 組合に加入しない従業員を優遇することによって、組合を会社から排除し、又はその弱体化を意図していたとみざるを得ないか ら、Y1社長らの言動は組合の組織・運営に対する支配介入に該当するとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
会社は、従業員会が設立の趣旨とした従業員間の親睦と社内交流の促進を逸脱して、従業員会に組合の対抗勢力としての役割を担 わせ、これへの加入を要請し、さらには入会を拒まれた組合員以外の従業員で開催した設立大会に出席した者に手当てを支払い、 組合に加入しない従業員を優遇することによって、組合を会社から排除し、又はその弱体化を意図していたとみざるを得ないか ら、Y1社長らの言動は組合の組織・運営に対する支配介入に該当するとされた例。

業種・規模  飲料・たばこ・飼料製造業 
掲載文献   
評釈等情報   

[先頭に戻る]

顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成18年(不再)第42号 一部変更 平成19年6月6日
 
[全 文情報] この事件の全文情報は約322KByteあ ります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダ ウンロードが必要です。