概要情報
事件名 |
函館厚生院 |
事件番号 |
北海道労委平成16年(不)第7号
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申立人 |
函館中央病院労働組合 |
被申立人 |
社会福祉法人函館厚生院 |
命令年月日 |
平成17年 8月19日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、病院を経営する法人が、①新たな団交ルールの導入、定期昇給等に関する労働協約の破棄、就業規則の改正等に関する団交を拒否したこと、②16年期末手当の協議に係る協定を遵守せず、不誠実な対応をしたこと、③組合が毎年春闘時に行っている組合旗掲揚等を拒否したこと、④組合の定期昇給等を求める署名活動に抗議し、中止を求めたことが不当労働行為であるとして、争われた事件である。 北海道労委は、法人に対し、①団体交渉のあり方、労働協約の破棄、就業規則の改正及び春闘に係る団交応諾並びに団交に応じることなく労働協約の解約や就業規則の改正及び春闘に係る団交応諾並びに団体交渉に応じることなく労働協約の解約や就業規則の改定を行うなどによる支配介入の禁止、②期末手当に係る協定を遵守しないことによる支配介入の禁止、③定期昇給を求める署名活動に対して抗議し、中止を求めることによる支配介入の禁止、④文書掲示を命じ、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人が申し入れた「協定破棄」「団体交渉のあり方」「就業規則の変更」 及び「2004年春闘」に係る団体交渉を拒否してはならず、また、団交に応ずることなく 労働協約の解約や就業規則の改定を行うなど、申立人を無視して、その運営に支配介入して はならない。
2 被申立人は、平成15年10月15日付けの協定書及び覚書を遵守せず、労使協議会設置 の趣旨を逸脱し、申立人の運営に支配介入してはならない。
3 被申立人は、申立人が行った定期昇給等を求める署名活動に抗議し、中止を求めることに より、申立人の運営に支配介入してはならない。
4 被申立人は、次の内容の文書を縦1.5メートル、横1メートルの大きさの白紙にかい書 で明瞭に記載し、函館中央病院南棟夜間通用口の見やすい場所に、本命令書写しの交付の日 から7日以内に掲示し、10日間掲示を継続しなければならない。
(文書略)
5 申立人のその余の申立を棄却する。 |
判定の要旨 |
2213 交渉人数
2211 団交ルールの先議
法人はそれまで慣行化されていた一般組合員の参加するいわゆる組合員参加型団交を改めて適正な交渉員による団交に是正するよう求め、労働協約破棄問題、就業規則改定問題、春闘要求等に関して組合の申入れた団交に応じないことは労組法7条2号に該当する不当労働行為であるとされた例。
2901 組合無視
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
法人は団交を拒否したまま、本件労働協約を破棄し、就業規則を改定していることは、組合を無視し、組合の運営に支配介入するものであって、労組法第7条第3号に該当する不当労働行為とされた例
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
平成16年3月期末手当に関する協議を労使協議会で行う旨の労働協約及び覚書を締結しながら、法人は労使協議会をして団交の代替の場とししようとして同協議会設置の趣旨を逸脱する態度をとっていることは、組合の運営に支配介入するものであって労組法第7条第3号に該当する不当労働行為であるとさた例。
2621 個別的示唆・説得・非難等
組合が、春闘時に組合旗の掲揚、ワッペン・腕章の着用を行う旨を通知したことに対し、法人がその自粛を申入れたことは、単に患者らに緊張感を与えることを慮れたものと認められ、組合の運営に対する支配介入とまではいえないとされた例。
2621 個別的示唆・説得・非難等
2620 反組合的言動
組合が実施した「定期昇給等を求める請願署名」は、法人に対して定昇等労働条件に関する要求をしたものであって、法人を誹誘や中傷するものでないから、正当な組合として認められるべきところ、法人がその中止を求める抗議書を出したことは、労組法第7条第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
 
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