事件名 |
トキワ工業 |
事件番号 |
大阪府労委平成15年(不)第84号
大阪府労委平成16年(不)第9号
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申立人 |
西区地域労働組合 |
被申立人 |
トキワ工業 |
命令年月日 |
平成17年 8月10日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含
む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、①組合員を降格処分とし、役職手当のカットを行っ
たこと、②同人の担当エリアを売上げの上がらない特販部に変更したこと、③同人に平成15年夏季及び冬季一時金を支給しな
かったこと、④社内会議で同人に個人攻撃を行ったこと、⑤団交において、約束した文書回答をしなかったこと等、誠実に対応し
ないことが、不当労働行為であるとして、争われた事件である。
大阪府労委は、①組合員に対する降格処分がなかったものとしての取扱い及びバックペイ、②組合員に対する平成15年夏季及
び冬季一時金の支給、③文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合員X1に対する平成15年5月2日付け
降格処分をなかったものとして取り扱い、当該降格処分がなければ得られたであろう役職手当相当額を支払わなければならない。
2 被申立入は、申立人組合員X1に対し、平成15年夏季及び冬季一時金相当額を支払わなければならない。
3 被申立人は、申立人西区地域労働組合に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
記
年 月 日
西区地域労働組合
委員長 X2 様
株式会社トキワエ業
代表取締役 Y1
当社が、貴組合員X1氏を大阪営業所長から降格処分としたこと、同氏に対して平成15年夏期及び冬期一時金を支給しなかっ
たこと、社内会議において同氏に対し個人攻撃を行ったことは、大阪府労働委員会において労働組合法第7条第1号に該当する不
当労働行為であると認められました。
今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
4 申立人のその他の申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
0120 政治(党)活動
① 営業所長であって組合員のX1に対して職務懈怠があったことを理由に営業所営業員に降格し、それまで支給していた役職手
当を支給しなくなったことは、職務懈怠とされる取引の第一義的な責任は本社にあり、X1に職務懈怠は認められず、X1の降格
は同人が組合員であることを理由とする労組法第7条第1号に該当する不当労働行為であるとされた例。
② 会社が従業員を適正に配置し、業務運営の円滑化を図ることを目的に、売上げの実績が芳しくない特販の担当者の担当エリア
を変更したとしても不合理とはいえず、X1の担当エリアを変更は不当労働行為といえないとされた例。
③ 組合と会社には平成15年夏季一時金及び冬季一時金に関する団交がもたれておらず、協定も締結されていないが、従前は協
定が締結されていないにもかかわらず、組合員X1に一時金が支給されていたこと、X1に15年夏季一時金及び冬季一時金を支
給
しない理由が勤務成績不良とか成績査定の結果によるとの主張も疎明もないところからすると、非組合員の従業員には支給する一
方、X1に支給しなかった会社の行為は、労組法第7条第1号に該当する不当労働行為であるとされた例。
④ 組合員X1に対して営業会議で長時間にわたり報告や説明を求め、社長らが営業改善の指導や注意と称して行った業務指示が
適
切であったと認めるに足る疎明もないところからすると、X1に対する社長らの発言は、組合加入を理由とする会社の組合嫌悪の表
れとみるのが相当であり、会社の一連の行為は労組法第7条第1号に該当する不当労働行為であるとされた例。
⑤ 団交に社長は出席していないが、団交に出席したE次長らに交渉権限がなかったとは認められないから、このような会社の対
応をもって不当労働行為といえないとされた例。
⑥ 組合の求めた組合員X1に対する降格処分の不当性等4点について会社は文書回答を行っていないが、文書回答がなければ団
交の進展が望みえない特段の事情も認められないから、会社の対応をもって不誠実とはいえないとされた例。
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業種・規模 |
食料品製造業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
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