労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  ダン生コン 
事件番号  大阪府労委平成14年(不)第55号 
申立人  全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部 
被申立人  株式会社ダン生コン 
命令年月日  平成17年11月 2日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含 む) 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、①生コン輸送を委託しているM社の運転手らで構成 される組合から申入れのあった組合員の解雇問題及び組合員に対する嫌がらせ問題等を議題とする団体交渉に応じなかったこ と、②組合からの脱退強要や勧誘活動の妨害を行ったこと、③M社との輸送委託契約を解約したことが不当労働行為であるとし て、争われた事件である。
 大阪府労委は、会社に対して、文書手交を命じ、輸送委託契約の解約撤回に関する申立てについては却下し、その余の申立てに ついては棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなけれ ばならない。

          記

全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部
代表者 執行委員長   X1 様


                     株式会社ダン生コン
                     代表者代表取締役  Y1


 当社が行った下記の行為は、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると 認定されました。今後、このような行為を繰り返さないようにします。

          記
(1)貴組合からの平成14年6月26日付け団体交渉申入書記載の要求事項のうち、組合員に対する嫌がらせ問題につき誠実に 団体交渉に応じなかったこと。

(2)貴組合の組合員に対して、同人が組合への勧誘活動を行っているとして、当該活動を妨害し、組合の組織及び運営に支配介 入したこと。


2 申立人の専属輸送契約の解約撤回に関する申立ては、却下する。


3 申立人のその他の申立ては棄却する。 
判定の要旨  4915 親会社
M社は被申立人会社の従業員であったY2により設立され、会社の生コン輸送の大部分を受託していること、会社とM社はM社の 有する車両を固定車として会社の製造した生コン輸送に優先して充てるという契約が存していたこと等からすると、会社がM社に 強い経済的影響力を及ぼし、M社の事業遂行に便宜を図る関係にあり、経営的にも一定の影響力を有していたことが認められるも のの、M社は独自に敷地、事務所及び26台のミキサー車を有して会社の生コンを輸送するほかに複数の生コン製造会社の輸送業 務にも従事していること等からすれば、M社が会社の支配従属下にあったとはいえず、M社は会社とは別個の独立した企業である と認めるのが相当とされた例。

4915 親会社
生コンを製造する被申立人会社と生コンの輸送を受託しているM社は、別個の独立した企業であると認めるのが相当であること、 M社の運転手の賃金等について会社が決定的影響力を持っているとの疎明もないこと、M社の運転手の労働時間、労働内容等を決 定する本来的な管理監督はM社が行っていたこと、会社がM社運転手の基本的労働条件についてM社と同視できる程度に現実的か つ具体的に支配していたとは認められないことからすれば、会社がM社運転手に対して雇用責任のある使用者とはいえないとされ た例。

4915 親会社
M社の運転手の大部分は毎日被申立人会社で輸送業務に従事していたと認められ、M社の運転手に対する会社の施設利用の許諾、 朝礼の実施及び服務上の規律等の指示は、会社が生コンの輸送に係る業務運営の円滑化のためや会社の所有する施設管理権に基づ き独自に行っていたものであり、その範囲内で同運転手を指揮監督していたといわざるを得ず、しかも、M社の従業員である運転 手は、その業務の性質上会社と運送先の往復で一日の大半を費やすことからすると、作業現場におけるM社の運転手に対する作業 の指揮命令を会社が行いるところすれば、基本的労働条件の一部である作業環境に関する部分について会社は雇用主と同視できる 程度に現実的かつ具体的に支配・決定できる地位にあったと認められ、その限りにおいて会社は使用者であるとされた例。

4900 請負・委任・派遣契約
組合員X2は自己の所有するミキサー車で被申立人会社製造した生コンを輸送していたが会社との間には、形式的にも実質的にも 雇用契約は認められないが、会社はX2に対して作業現場における輸送業務の出荷指示、搬入時刻の決定並びに会社施設の利用及 び服務や規律等をM社の運転手と同様に取り扱っていたのであるから、X2の作業環境について基本的な労働条件を決定していた 認められ、その限りにおいて同人の使用者であるというべきであるとされた例。

2130 雇用主でないことを理由
会社は輸送業務における指示並びに会社施設の利用及び服務や規律に係る範囲でM社の従業員である組合員及びX2の使用者と認 められるから、会社がM社の従業員である組合員に対する嫌がらせ問題に関して組合の申入れた団交に応じないことは労組法第7 条第2号の不当労働行為に該当するとされた例。

1604 その他
会社の社長がM社の従業員である運転手に対して暴言、嫌がらせ、監禁を行ったとされるのは運転手が組合に加入する前の事柄で あり、また、組合加入後の脱退強要については事実を裏付ける疎明がないから、この点に関する組合の申立てが棄却された例。

2613 使用者と取引関係者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
会社の社長が組合員X2に対してM社の従業員に組合加入を勧誘することを止めるよう求めたことは労組法第7条第3号に該当す る不当労働行為であるとされた例。

1604 その他
4916 企業に影響力を持つ者
会社はM社の従業員である運転手及びX2の作業環境の実質的決定という範囲内において使用者と認められるものの、同人らの労 働条件について雇用主と同視し得るほど現実的かつ具体的に影響力を及ぼし得る地位になかったのであるから、M社に輸送契約の 解約を申し入れたことについての申立ては却下するとされた例。

4505 その他
組合は本件の救済として、誠実団交応諾及び組合への勧誘妨害の禁止を求めるが、組合員の雇用主であるM社と同社に生コン輸送 を委託していた被申立人会社との間の輸送契約が解約されていることから、会社に対して文書手交を命じた例。

業種・規模  建設業 
掲載文献   
評釈等情報   

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