概要情報
事件名 |
コマツ西日本 |
事件番号 |
長崎県労委平成16年(不)第7号
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申立人 |
全国一般労働組合長崎地方本部諫早地区中小企業労働組合支部 |
被申立人 |
コマツ西日本株式会社 |
命令年月日 |
平成18年 3月 6日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、①組合分会長X1を長崎支店から同支店五島営業所に配転する旨の内示に関する団交を拒否したこと、②X1に対する配転が分会長であること及び組合による別件の救済申立てを行ったことに対する報復人事の不当労働行為であるとして、争われた事件である。 長崎県労委は、会社に対し、①X1配置転換の撤回及び原職復帰、②組合との協定遵守及び組合員の労働条件に係る事項の事前協議を命じ、申立人の慰謝料等の支払を求める申立ては却下、その余の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人会社は、申立人組合分会長X1の平成16年8月1日付けの五島営業所への配置転換を撤回し、同人を原職へ復帰させなければならない。 2 被申立人会社は、今後、申立人組合との協定を遵守し、同組合員の労働条件にかかわる事項については、事前に組合へ提案し、協議しなければならない。 3 申立人の慰謝料等の支払いに関する請求は、これを却下する。 4 申立人のその余の請求は棄却する。 |
判定の要旨 |
1300 転勤・配転
組合分会長X1の五島営業所への配転は分会との事前協議に付すべきことを会社が認識しながらこれをすることなく発令したと解され、同人の配転の効果はマイナスの結果となっているにもかかわらず、人事を発意した営業部長に是正措置を講じた形跡はないことなどの諸事情が認められることから、必要不可欠な配転であったとは認められず、労組法第7条第1号に該当するとされた例。
2305 労働協約との関係
組合員の労働条件に係る問題は事前提示の上、労使間で協議し、労使間の慣行・慣例を尊重する旨の労使間協定により会社配転命令権が制約されると解されるから、会社が分会長の配転に関する組合の申入れた団交に応じなかったことは、労組法第7条第2号に該当するとされた例。
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
分会長X1の配転が労使協定の事前協議の対象事項に当たらず、転勤に関して事前協議の慣行はないとする会社の対応は、組合との協定を蔑ろにし、分会を無視ないし不利にするもので、組合の団結権の形骸化及び組合の存在を否定するものと認められることから、労組法7条3号に該当するとされた例。
5005 損害賠償の請求
組合は本件分会長X1に対する配転の救済として、X1及び家族が被った精神的、肉体的苦痛の慰謝料を請求するが、このような請求は司法機関のみがなしうる司法判断の分野に属し、不当労働行為制度による救済にはなじまないとして、申立てが却下された例。
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業種・規模 |
卸売業、小売業、飲食店 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
 
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