労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  明治大学消費生活協同組合 
事件番号  東京都労委平成12年(不)第13号 
申立人  明治大学消費生活協同組合労働組合 
被申立人  明治大学消費生活協同組合 
命令年月日  平成17年 5月24日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  協同組合が、(1)組合員X1の解雇問題等に関する団交を打ち切って、それ以降団交に応じず、他方、再三にわたりX1に就労命令を発し、これに従わない場合は処分もあり得ると通知したこと、(2)組合の定期大会に係る、組合を支援する14団体の大学構内への立入禁止宣言を撤回せず、当日には生協の理事を含む10数名が大会会場の正門及び裏門に集合し、うち2名が会場を覗き見たこと、(3)通常総代会の議案書で組合について「一部悪質分子」などとの表現し、生協報で組合がX1解雇問題に取り組む真の目的が生協の破壊や金銭要求であるなどと述べたことが不当労働行為であるとして争われた事件で、協同組合に対し、文書交付を命じた。 
命令主文  被申立人明治大学消費生活協同組合は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人明治大学消費生活協同組合労働組合に交付しなければならない。

          記

                 年 月 日

明治大学消費生活協同組合労働組合

委員長代行 X2 様

                 明治大学消費生活協同組合

                 清算人 Y1

(1)当法人が平成12年3月28日の団体交渉以降、貴組合から申入れのあった11年12  月7日付団体交渉申入れの議題に関する団体交渉に応じていないこと、(2)当法人が1  1年7月10日開催の11年度通常総代会の議案書及び12年1月24日発行の「生報   協」No86に掲載した声明を撤回せず、当方人理事らが11年10月9日に開催された1  1年度貴組合定期大会当日に明治大学和泉校舎正門及び裏門に集合し、うち2名が同大会  会場を覗き見たこと、及び(4)当法人が12年3月29日以降5回に亘り元貴組合員X  1氏に就労命令を発したことは、いずれも東京都労働委員会において不当労働行為と認定  されました。
   今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
   (注:年月日は文書を交付した日を記載すること。)

2 被申立人生協は、前項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければなら ない。 
判定の要旨  2625 非組合員化の言動
生協の総代会議案書や「生協報」における組合に関する表現は、単なる生協の見解の表明の次元にとどまらず、組合員X1解雇問題の解決を自らに有利な方向へ導くべく、生協がいうところの「良心的組合員」の組合からの脱退等を企図して、X1解雇問題へ積極的に取り組む組合ないし組合員の分断、ひいては組合の壊滅を狙ったものというほかなく、これは組合の組織、運営に対する公然たる支配介入に当たるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
組合の定期大会当日、理事らが大学校舎正門及び裏門に集合し、組合員に大声を浴びせかけるなどし、うち2名が大会会場を覗き見たことは、大会への参加者を威圧して心理的圧迫を与えるとともに、組合の支援団体の参加を阻止して大会の円滑な運営を妨げる目的で行われた行為とみざるを得ず、これは組合運営に対する支配介入に該当するとされた例。

2250 未妥結・打切り・決裂
2249 その他使用者の態度
組合の団交申入れは組合員X1の解雇撤回後の労働条件が主要な交渉議題の一つであることは明らかであり、これに関する交渉が実質的に2回しか行われておらず、しかも、双方が自らの主張を述べ合ったに過ぎないのであるから、未だ交渉の余地があるというべきであり、いきなり打切りの宣言をする生協の態度は、団交において真摯にX1解雇問題を解決する意思がなかったといわざるを得ず、生協が団交の決裂を主張した団交以降団交に応じていないことは正当な理由のない団交拒否に該当するとされた例。

2700 威嚇・暴力行為
生協が組合員X1に就労命令を発したのは、組合の申入れた団交においてX1の解雇撤回後の労働条件について合意に達しない状況の下であえて交渉を打ち切って就労を命じ、その後も4回にわたり執拗に就労命令を発しているところからすると、生協が再度の解雇処分を示唆することによってX1を恫喝し、同人の組合活動を萎縮させようとしたものとみられるので、これは支配介入に該当するとされた例。

業種・規模  協同組合 
掲載文献   
評釈等情報   

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