労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪運輸振興 
事件番号  大阪府労委平成15年(不)第18号 
申立人  日本自治体労働組合総連合大阪市バス労働組合 
被申立人  大阪運輸振興株式会社 
命令年月日  平成17年 5月20日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)運行管理業務従事者をして、組合の組合員の脱退を強要させ、また、従業員の組合新規加入を妨害させたこと、(2)組合の新規採用者向け組合説明会を別組合のそれの翌日に設定し差別的取扱いを行ったこと、(3)組合の組合掲示板の設置場所を別組合のそれと比べて従業員の目に付かない場所に指定させるなど差別的取扱いを行ったこと、(4)組合が組合機関誌を配布するためのカゴを営業所の食堂等に備え付けることについて団体交渉で合意があったにもかかわらずこれを無視したこと、(5)組合の執行委員長を不利益に取り扱うことにより、他の従業員へのみせしめにし、同時に他の従業員から引き離すことを目的として、同人を研修担当運転手に選任しなかったことが不当労働行為であるとして争われた事件で、会社に対し、①新入社員研修会において実施される組合説明会のスケジュールに関し、他組合と平等な条件のもとに、その機会の保証、②組合から申し入れのあった掲示板貸与の件について、組合が希望した場所での掲示板の設置を認める方向で、組合及び市交通局との誠実協議応諾、③文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人に対し、新入社員研修会において実施される組合説明会のスケジュー ルに関して、大阪交通関連企業労働組合と平等な条件のもとに、その機会を保証しなければ ならない。

2 被申立人は、申立人から平成14年10月7日付け申入書で申入れのあった掲示板貸与の 件について、申立人が希望した場所での掲示板の設置を認める方向で、申立人及び大阪市交 通局と誠実に協議しなければならない。

3 被申立人は、申立人に対して、下記の文書を速やかに手交しなければならない。

                  記

                           年  月  日


日本自治体労働組合総連合大阪市バス労働組合

執行委員長 X1 様

                          大阪運輸振興株式会社

                          代表取締役 Y1


 当社が、貴組合の新規採用者向け組合説明会の日程の設定について、大阪交通関連企業労働組合と比べ差別的に取り扱ったこと、及び、貴組合の掲示板の設置について、大阪交通関連企業労働組合と比べ差別的に取り扱ったことは、大阪府労働委員会において不当労働行為であると認められました。今後このような行為を繰り返さないようにいたします。

4 申立人のその他の申立ては棄却する。 
判定の要旨  2611 その他の従業員の言動
3411 その他の従業員の言動
2620 反組合的言動
運行管理業務従事者Y2による組合副委員長X2に対する言動は、(1)組合の反発するような言動の疑いはあるものの、同人の言動が具体的に特定できる事実の主張も疎明もないこと、(2)Y2は運行管理者の指揮監督のもとにその業務の一部を遂行しているものとみられ、Y2がバス乗務員に一定の指示を出すとしても職制上の上司とはいえないこと、(3)Y2の行為を会社に帰責するに足る事実の疎明はないこと等から、Y2のX2に対する言動を会社の不当労働行為ということはできず、この点に係る組合の申立が棄却された例。

2803 その他
2900 非組合員の優遇
一般に会社内に複数の組合が存在する場合に、会社が便宜供与をするにあたっては両組合に中立的な立場を保持し、一方の労働組合を他方の労働組合に比して差別的に取り扱わないことが求められ、新人研修において実施する労働組合説明会も便宜供与の一種と解されるので、会社としては説明会の実施にあたって別組合に比し組合が不利にならないように配慮しなければならないところ、会社は組合の説明会を別組合の翌日に実施すれば組合が勧誘活動において不利益を受けるおそれが大きいにもかかわらず、同日に実施するように十分の努力をせずに、あえて翌日にしたといわざるを得ず、かかる会社の対応は、組合活動に対する便宜供与につき組合を差別的に取り扱った労組法7条3号に該当する支配介入の不当労働行為であるとされた例。

2803 その他
2900 非組合員の優遇
会社内に複数の労働組合が併存する場合、掲示板の設置場所は可能な限り平等な条件の下に認められなければならないところ、会社は掲示板の設置場所について別組合の意向を優先させ、組合の設置場所については会社が決定するのではなく大阪市交通局が決定するとの態度をとり、交通局には単に組合の希望場所を伝達したにとどまり、組合の掲示板は、別組合の掲示板の位置に比べて不利な位置になったこと等を総合的すると、会社は、使用者として組合間に差別が生じないようにするべき義務を怠って、組合に不利益な結果を招いたといわなければならず、掲示板の設置場所の決定に至る会社の一連の行為は、組合の弱体化を図る労組法7条3号に該当する支配介入の不当労働行為であるとされた例。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
組合は団体交渉において営業所に組合機関紙を配布するカゴの設置を合意したと主張するが、そのような合意の存在を認めるに足る疎明はなく、会社が合意を一方的に破棄したとの組合の申立てが棄却された例。

1300 転勤・配転
研修担当運転手の選任は各営業所長の裁量に委ねられ、基本的には大阪市交通局からの派遣職員が優先的に充てられ、補充的に会社の社員が選任されることになっており、しかも会社の社員から選ばれるのは、同年の新人研修が初めてであること、組合委員長X3は過去に構内事故を起こしていること、組合からも2名が選任されていること等からすると、X3を研修担当運転手に選任しなかったことをもって、直ちに、同人の組合所属若しくは組合活動を理由とした不利益取扱いとまではいえないとされた例。

業種・規模  道路旅客運送業(バス専業) 
掲載文献   
評釈等情報   

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