労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  田中陸運 
事件番号  広島県労委平成15年(不)第5号 
申立人  全日本建設交運一般労働組合広島県本部福山地域支部田中陸運分会 
被申立人  田中陸運有限会社 
命令年月日  平成17年 3月30日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社が、組合員に対し、売上単価が低くなるよう配車したことが不当労働行為であるとして、争われた事件で、会社に対し、(1)公平な配車の実施、(2)組合員2名に対する、配車差別を行わなければ得たであろう所定時間外手当相当額との差額の支払いを命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員に対する配車について、非組合員の運転手と公平に取り扱わな ければならない。

2 被申立人は、申立人組合執行委員長X1及び申立人組合書記長X2に対し、平成14年8 月から平成15年5月までの間において、被申立人が配車差別を行わなければ得たであろう 各月ごとの所定時間外手当相当額を別紙の計算式を参考に算出し、この算出額が既支払額を 上回る場合は、その差額を支払わなければならない。

3 被申立人は、第2項を履行したときは、算出の根拠を示して、速やかに当委員会に文書で 報告しなければならない。 
判定の要旨  1302 就業上の差別
2240 説明・説得の程度
2249 その他使用者の態度
2250 未妥結・打切り・決裂
配車をめぐり会社が書面あるいは団体交渉において公平な配車であるとし、組合がその根拠の説明を求めても、会社は、配車に問題はないと回答するのみで具体的説明を何ら行っていないものと認められ、さらに、団体交渉において、組合が作成した資料は組合の都合の良いように作られており信憑性がない旨の発言を繰り返し、組合の要求に対し具体的な説明は何ら行わずに交渉を打ち切ったことは、労使関係や団体交渉等における会社の態度を併せ考えると、会社は組合の存在を嫌悪しているとみるのが相当であるとされた例。

1302 就業上の差別
組合員の売上計上日数は、非組合員のそれより平均して約11%少なく、この点、非組合員との間に格差が存在することは事実であるが、これは、会社の主張のとおり、X1委員長が家庭の事情により日曜日は出勤できない旨の申入れなどにより組合員に対する休日を含む配車が制限されたことによるものと解するのが相当であること、また、組合は、本件申入れの趣旨について、休日は基本的に休むことにするが、これは一切出勤を拒否するものではなく、業務の都合でやむを得ない場合には、個々に出勤の可否について確認をお願いするものであると主張するが、会社が組合員に休日を含む配車を行い難いと受け止めたとしてもやむを得ないこと等から、組合員2名と非組合員4名との間に売上計上日数に格差が生じたことについては、本件申入れなどにより休日の配車が制限されたことによるものと解するのが相当であり、会社の不当労働行為意思によるものとは認められないとされた例。

1302 就業上の差別
運転手の所定時間外手当は売上額が算定の基礎となっており、その売上額は土日祝日とその前後に配車することによる売上計上日数の多寡及び九州方面等への長距離業務の多寡による売上単価によって決定されるところ、(1)組合が休日は基本的に休むことにするとの申入れを行ったことにより、会社が組合員に休日を含む配車を抑制したこと及びX1委員長の家庭事情か日曜日に配車ができなかったことにより、組合員の売上計上日数が非組合員より少なくなったと解され、会社の不当労働行為意思によるものとはいえないが、(2)X1委員長の家庭事情から日曜日に配車ができなかったことによる月曜日の売上単価格差以外に、会社が組合員の売上単価が非組合員より低くなる配車を行った合理的理由は認められず、会社が組合の存在を嫌悪して組合員に配車差別を行ったものと認められ、したがって、X1委員長に対する月曜日に売上が計上される配車を除き、会社が組合員2名に対する配車によって売上単価に格差を生じさせたことは、労組法7条1号に該当する不当労働行為とされた例。

業種・規模  道路貨物運送業 
掲載文献   
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成17年(不再)第32号 一部変更 平成18年7月19日
 
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