労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件名  五十畑鋼管 
事件番号  東京都労委 平成14年(不)第13号 
申立人  五十畑鋼管労働組合 
申立人  産業別労働組合ジェイ・エイ・エム千葉 
被申立人  五十畑鋼管株式会社 
命令年月日  平成17年 2月 1日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  本件は、会社役員らが、組合を結成した市川工場の従業員に対し組合加入について尋ねたり、組合に加入することの不利益を示唆するかのような言動や文書配布を行ったことが不当労働行為であるとして争われた事件で、会社に対し、(1)会社取締役らをして組合から脱退するよう働きかけさせたり、誹謗中傷文書を配布させることなどによる支配介入の禁止、(2)文書交付及び文書掲示を命じた。 
命令主文  1 被申立人五十畑鋼管株式会社は、同社取締役、営業本部長及び市川工場長らをして、申立 人五十畑鋼管労働組合の組合員に対して、同組合から脱退するよう働きかけさせたり、申立 人産業別労働組合ジェイ・エイ・エム千葉及び同五十畑鋼管労働組合を誹謗する文書を配付 させるなどして、申立人組合らの組織及び運営に支配介入してはならない。
2 被申立人会社は、本命令書受領後1週間以内に、下記内容の文書を申立人組合らに交付す るとともに、同一内容の文書を55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大) の白紙に、楷書で明瞭に墨書して、市川工場、葛飾工場及び古河工場の従業員の見やすい場 所に、10日間掲示しなければならない

                 記

                              年  月  日

産業別労働組合ジェイ・エイ・エム千葉

 執行委員長 X1殿

五十畑鋼管労働組合

 執行委員長 X2殿

                          五十畑鋼管株式会社
                          代表取締役  Y1

 当社が、Y2取締役(当時)、Y3専務取締役、Y4常務取締役及びY5市川工場長の言動により、貴組合員に貴組合を脱退するよう働きかけたり、貴組合を誹謗する文書を配布するなどしたことは、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
 (注:年月日は文書を交付又は掲示した日を記載すること。)

3 被申立人会社は第2項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければなら ない。 
判定の要旨  2622 組合員調査
3700 使用者の認識・嫌悪
会社は、組合から従業員である8名の組合役員を通知されており、その時点で従業員が加入する労働組合が結成されたことを了知していたと認められるから、Y2取締役らの役員及びY5工場長らが組合役員を含む組合員に対して組合加入の有無を質すなどしたことは、組合結成直後の不安定な時期に、組合員の不安感をあおったり、不利益を示唆することにより、組合からの脱退を企図した行為と判断せざるを得ず、これらの言動は、組合の組織及び運営に対する支配介入に当たるとされた例。

2620 反組合的言動
Y4取締役営業本部長の作成したに文書は、組合結成の際の組合幹部の行動や結成通告時の組合の態度を殊更に問題視し、組合に対する嫌悪の感情や批判的な立場を露わに表現し、また、組合結成により組合幹部が会社に与えた損害の賠償問題を弁護士と相談中であるかのように記述し、この文書を非組合員であると会社が考えた従業員に配布していることからすると、組合の組織拡大を阻止する意図の下に作成・配布されたものとみざるを得ず、これは組合の組織及び運営に対する支配介入に当たるとされた例。

2621 個別的示唆・説得・非難等
Y2取締役がX3組合書記長に対して組合と会社とどちらを信用するのか等と述べたことは、同取締役がわざわざ工場に出向いて行った言動であり、その内容はX3の組合活動をけん制するものであるといわざるを得ず、また、この言動がY4本部長が文書を配布した時期と重なることを併せ考えると、X3個人の組合活動のみならず、組合の活動そのものへのけん制ということができ、組合の影響力を抑制するためになされたものであって、組合の組織及び運営に対する支配介入に当たるとされた例。

業種・規模  金属製品製造業 
掲載文献   
評釈等情報   

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約256KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。