概要情報
事件名 |
栗本学園 |
事件番号 |
愛知県労委 平成14年(不)第5号
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申立人 |
栗本学園名古屋国際高等学校教職員組合 |
被申立人 |
学校法人栗本学園 |
命令年月日 |
平成17年 2月28日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
法人が、(1)速やかな団交開催に応じないこと、(2)団体交渉に決定権を持つ理事長が出席しないこと、(3)団交において、定期昇給の回復及び一時金の支給に関する、財政難の根拠について具体的資料を提示した説明を行わず、また、成果主義賃金体系への移行を条件とすることに固執したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、法人に対し、(1)組合から申入れを受けた場合は速やかに団交に応じること及び申入れ期日に応じられない場合は理由及び応じられる日時を明らかにして開催日時を調整し、団交に応じること、(2)定期昇給回復及び一時金支給に関する団体交渉において解答の根拠について十分説明すること、(3)文書の交付を命じ、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人から団体交渉の申入れを受けた場合、速やかにこれに応じなければな らず、申入れを受けた日時に応じられない正当な理由があるときは、その理由及び応じるこ とができる日時を明らかにして期日の変更を申立人に中し入れ、速やかに開催日時を調整し てこれに応じなければならない。
2 被申立人は、申立人から申入れのあった定期昇給の回復及び一時金の支給に関する団体交 渉において、被申立人の経営状況等を具体的に記した資料を提示して回答の根拠について十 分に説明し、成果主義の導入に固執することなく、誠実に交渉に応じなければならない。
3 被申立人は、申立人に対し、下記内容の文書を本命令書交付の日から7日以内に交付しな ければならない。
(文書略)
4 その余の申立ては却下する。 |
判定の要旨 |
2245 引き延ばし
2249 その他使用者の態度
学園が組合の申そ入れた定期昇給の回復及び一時金の支給に関する団体交渉開催の諾否を返答しなかったり、求められた開催日の当日になって延期を申し入れたり、求められた開催日を徒過するなどの不誠実な対応は労組法7条2号の不当労働行為とされた例。
2240 説明・説得の程度
学園は定期昇給及び一時金に係る団体交渉において、支払能力に関する根拠資料として単に消費収支を具体的な金額も示さない折れ線グラフで提示するのみで、自己の回答内容やその根拠について組合の理解を得るべく十分な説明を行わず、また、組合の要求とは直接関連性の認められない成果主義の導入を持ち出してその導入に固執し、昇給及び一時金支給の条件として押し付けているとみざるを得ない態度をとっている学園の対応は不誠実といわざるを得ず、労組法7条2号の不当労働行為とされた例。
2248 実質的権限のない交渉担当者
組合は、団体交渉に出席したY2理事に団体交渉担当者としての権限が委ねられていないと主張するが、Y2理事が学園側交渉委員として団体交渉に出席し、学園としての回答を行っており、また、組合が団体交渉開催を要請する文書のあて先をY2理事としているところからすると、組合もY2理事の交渉権限を認知して交渉していたとみるのが相当であり、組合の主張は採用できないとされた例。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
 
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