労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日商石油運送 
事件番号  東京都労委 平成15年(不)第11号 
申立人  個人X1 
申立人  全日本金属情報機器労働組合東京地方本部大田地域支部 
被申立人  日商石油運送株式会社 
被申立人  日本石油販売株式会社 
命令年月日  平成17年 1月18日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  日商石油運送が、(1)組合の分会長X1を配送先でのトラブル、荷卸し事故等を理由として解雇したこと、(2)同問題に関する組合支部の団体交渉申入れに応じなかったことが不当労働行為であるとして争われた事件で、(1)日商石油運送に対し、X1に対する解雇がなかったものとしての取扱い、原職復帰及びバックペイ、(2)日商石油運送従業員の労働条件を実質的に支配している日本石油販売に対し、X1の原職又は原職相当職復帰後の処遇を議題とする誠実団交応諾を命じた。 
命令主文  1 被申立人日商石油運送株式会社は、申立人X1に対する平成14年6月25日付解雇をな かったものとして取り扱い、次の措置を講じなければならない。

(1)X1を原職又は原職相当職に復帰させること。
(2)X1に対し、平成14年6月25日の翌日から起算して同人を原職又は原職相当職に復帰 させるまでの間に支払われるべきであった賃金相当額を支払うこと。

2 被申立人日本石油販売株式会社は、申立人全日本金属情報機器労働組合東京地方本部大田 地域支部が申立人X1の原職又は原職相当職復帰後の処遇を議題とする団体交渉を申し入れ たときは、これを誠実に応じなければならない。

3 被申立人日商石油運送株式会社は、第1項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で 報告しなければならない。 
判定の要旨  0500 勤務成績不良
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
日商石油運送が従業員であって組合の分会長であったX1を作業事故及び交通事故を多発させたことを理由に解雇しているが、X1は平成5年12月から平成14年4月までの間に14件の事故を起こすなど乗務員としての勤務態度に問題があったとはいうものの、本件解雇は、日商石油運送が乗務員の賃金制度を変更する施策に一貫して反対する組合を嫌悪し、組合の影響力を職場から除去するために、接触事故を奇貨としてX1を他の従業員と著しく均衡を失する解雇処分に付し、同人を職場から排除したものとみるのが相当であるから、日商石油運送による本件解雇は、X1に対する不利益取扱い及び組合の組合活動に対する支配介入に当たるとされた例。

2130 雇用主でないことを理由
日本石油販売は、日商石油運送の従業員に対し直接事故防止を求めるにとどまらず、日本石油販売が日商石油運送の業務や営業や事故処理等をやらざるを得ないと通知しており、日本石油販売のY1社長は日商石油運送の従業員に賃金体系変更案を直接提案したり、日商石油運送の経営合理化への協力を求める文書を配布するなど、日本石油販売は日商石油運送の従業員の賃金体系、一時金及び給与規定の廃止等の基本的労働条件について、具体的に支配していると認められ、かつ、X1の雇用について雇用主と同視し得る程度に現実的かつ具体的に決定できる立場にあったと認めることができるのであるから、少なくとも本件解雇を議題とする団体交渉を組合が申し入れたときは、X1と雇用関係がないから使用者ではないとの理由で拒否することはできないと判断せざるを得ず、したがって、日本石油販売が、組合に対し、団体交渉の当事者ではないから今後一切組合と話し合う意思がないと通知し、団体交渉申入れを拒否したことは、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるとされた例。

4505 その他
組合は本件の救済として、日本石油販売に対し解雇問題を議題とする団交応諾を求めているが、本件解雇問題自体は日商石油運送が本件解雇がなかったものとして取り扱い、原職復帰及びバック・ペイを支払うことを命ずることにより救済されると考えられるものの、復職後のX1の処遇については日商石油運送のみならず日本石油販売が団体交渉に加わって検討することが将来の労使関係の円滑化に不可欠と考えるので、日本石油販売にX1の復職後の処遇問題を議題とする団体交渉に誠実に応じなければならない旨を命じるとした例。

業種・規模  道路貨物運送業 
掲載文献   
評釈等情報   

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