概要情報
事件名 |
井之頭病院 |
事件番号 |
東京都労委 平成14年(不)第118号
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申立人 |
井之頭病院労働組合 |
被申立人 |
財団法人井之頭病院 |
命令年月日 |
平成17年 1月18日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
(1)院長らが管理職会、職場連絡会等において、組合の執行部の活動、役員選挙の方法、組合費の使途等について意見を述べ、これらの発言を法人の会報に掲載して、全職員に回覧したこと、(2)組合との合意の下、書面による労使協定によらずに実施してきたチェックオフを中止したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、法人に対し、(1)院長らに組合執行部に対する不信感を煽るような発言をさせることによる組合の組織・運営に対する支配介入の禁止、(2)文書交付を命じ、申立てから1年以上前の管理職会における行為に係る申立ては係る申立ては却下とした。 |
命令主文 |
1 被申立人財団法人井之頭病院は、病院長及び事務部長をして、申立人井之頭病院労働組合の執行部に対する不信感を煽るような発言をさせることによって、同労働組合の組織・運営に支配介入してはならない。 2 被申立人財団は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人組合に交付しなければならない。
記
年 月 日
井之頭病院労働組合
執行委員長 X1 殿
財団法人井之頭病院
理事長 Y1
当財団が、病院長及び事務部長をして、貴組合執行部に対する不信感を煽るような発言をさせたこと及びチェックオフを一方的に中止したことは、不当労働行為であると東京都労働委員会において認定されました。 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。 (注:年月日は文書を交付した日を記載すること。)
3 被申立人財団は、前項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければなら ない。
4 平成13年10月12日の管理職会に係る申立ては却下する。 |
判定の要旨 |
2620 反組合的言動
2610 職制上の地位にある者の言動
法人の病院長、事務部長らが管理職会、職場連絡会などの会議において組合の執行部の活動、役員選挙の方法、組合費の使途、組合民主主義のあり方などについて意見を述べ、これらの発言を会議の議事録である会報に掲載して全職員に回覧したことは、使用者に許される意見表明の範囲を超えた行為であり、こうした発言が組合員の執行部に対する不信感を煽り、組合運営を萎縮させることは明らかであり、しかもそれを会報として各職場に回覧しているのであるから、これは組合の組織・運営に対する支配介入に該当するとされた例。
5200 除斥期間
法人の事務部長が管理職会でアンケートに関連して述べたコメントは本件申立てより1年以上前のことであって申立期間を徒過しているとして、申立てが却下された例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
法人が組合との合意の下に書面による労使協定を結ばずに実施してきた組合費のチェックオフを、格別の具体的支障もないのに中止した措置は、組合執行部に対する嫌悪の念から行われたものとみざるを得ず、これは組合の組織・運営に対する支配介入に該当するとされた例。
4603 その他
本件労使間においては、文書による協定こそ締結されていなかったものの、チェックオフ実施以降その中止までの間一貫して組合との合意に基づき行われてきたものであり、この間組合が書面協定の締結を求めたにもかかわらず法人が対応しなかったのであるから、書面協定がないことに乗じてチェックオフを中止することは許されないとされた例。
4613 P.Nのみを命じ、他の救済の必要性を認めなかった例
組合は、チェックオフに関する救済について、チェックオフを中止することの禁止をも求めているが、16年3月時点では、組合員の割合が全職員の過半数を割っており、労働基準法との関係でチェックオフを再開する要件を満たしていないことなどを考慮し、本件の救済としては文書交付が相当であるとされた例。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
 
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