概要情報
事件名 |
東京避雷針工業 |
事件番号 |
神奈川県労委 平成12年(不)第19号
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申立人 |
全労連・全国一般労働組合神奈川地方本部 |
被申立人 |
東京避雷針工業株式会社 |
命令年月日 |
平成17年 2月16日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、組合の中心的役割を果たしていた財政部長X1を、(1)自宅通勤が困難な支店に配転したこと、(2)その後X1を解雇したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、会社に対し、(1)X1に対する配置転換命令及び解雇通知がなかったものとしての取扱い、原職復帰並びにバックペイ、(2)文書交付を命じた。 |
命令主文 |
主 文
1 被申立人は、申立人組合員X1に対する平成12年8月10日付け配置転換命令及び平成16年4月26日付け解雇通知がなかったものとして、次の措置を講じなければならない。 (1)X1を上記配置転換命令前の職務に復帰させること。 (2)X1に対し、上記配置転換命令がなかったならば支給されるべきであった東京支店出勤開始日である平成12年10月23日以降平成13年3月28日までの間(東京支店出勤期間)の残業手当(時間外手当、休日出勤手当及び深夜手当)額相当額に年率5分相当額を加算した額の金員を支払うこと。なお、この残業手当額相当額の算出に当たっては、同人の東京支店出勤開始日(平成12年10月23日)前1年間の残業手当額の平均を基礎に算出するものとする。 (3)X1に対し、上記配置転換命令及び解雇通知がなかったならば支給されるべきであった平成16年5月1日以降上記配置転換命令前の職務に復帰するまでの賃金相当額に年率5分相当額を加算した額の金員を支払うこと。
2 被申立人は、本命例受領後、速やかに下記の文書を申立人に手交しなければならない。
記
当社が、貴組合員のX1に対して平成12年8月10日付けで配置転換を命じたこと及び平成16年4月26日付けで解雇を通知したことは労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると神奈川県労働委員会において認定されました。 今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
平成 年 月 日
全労連・全国一般労働組合神奈川地方本部
執行委員長 X2殿
東京避雷針工業株式会社
代表取締役 Y1 |
判定の要旨 |
1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
組合員X1を横浜支店工事課から東京支店に新設した営業二課に配転したことは、(1)通勤時間が伸び、残業手当が減少して生活上及び経済的不利益性が認められること、(2)団体交渉に出席して会社内の不祥事を追及するなど組合の中心的活動を行ってきたX1を会社は嫌悪していたと窺われること、(3)東京支店の組織変更や営業二課の新設は経営判断として首肯できるが、X1は入社時から横浜支店に継続して勤務することを希望し、平成10年に配転を発令されても応じることなく、会社が10年発令を撤回しており、本件配転の人選に合理性があるとは認められないこと、これらを総合すると本件配転は会社がX1に対して組合活動を理由として不利益な取扱いをするとともにその活動の拠点から分離させることにより組合を弱体化させることを企図して行ったものであって、労組法7条1号及び3号の不当労働行為に該当するとされた例。
0700 職場規律違反
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
異議をとどめて配転に応じて東京支店で勤務していたX1は、平成13年3月29日から病気で欠勤し、会社は同年7月12日付けで休職を発令し、平成16年1月5日から横浜支店でリハビリ勤務を行っていたところ、会社は3月1日以降東京支店営業二課で勤務することを指示したが、X1はリハビリ勤務が終了した3月1日以降も横浜支店に出勤し、「横浜支店に復職したい」旨の文書を提出し、3月5日以降出勤しなくなったものであり、会社は、東京支店営業二課に勤務するよう指示しても応じないことを理由に4月30日付けで解雇しているが、本件配転命令が不当労働行為であるから、配転先である東京支店営業二課に勤務しないことを理由に解雇することは正当とは認められず、労組法7条1号及び3号の不当労働行為に該当するとされた例。
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業種・規模 |
金属製品製造業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
 
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