労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本ケミファ 
事件番号  東京都労委平成 8年(不)第93号 
東京都労委平成 9年(不)第62号 
申立人  全労連・全国一般労働組合東京地方本部 
申立人  全労連全国一般日本ケミファ労働組合 
申立人  全労連・全国一般労働組合埼玉地方本部 
被申立人  日本ケミファ株式会社 
命令年月日  平成17年 1月11日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社が、平成9年度上期から14年度下期までの賞与について、別組合の組合員には妥結通告後速やかに支給したのに、組合の組合員には、組合休暇の取扱いを明記した協定の締結を支給条件とする等により支給を遅らせたことが不当労働行為であるとして、争われた事件で、会社に対し、(1)平成9年度上期から14年度下期までの賞与について、組合の妥結通告から8日後に支給したものとしての取扱い(支給が遅れた期間について年5分加算)、(2)組合休暇の取扱いについての新たな協定締結への努力及び協議が整うまでの間の賞与について、組合の妥協通告後に遅滞なく支給することを命じた。 
命令主文  1 被申立人日本ケミファ株式会社は、平成9年度上期ないし14年度下期の賞与につき、申 立人全労連全国一般日本ケミファ労働組合が被申立人会社に妥結通告を行った日から8日後 に同組合の組合員に対し、賞与を支給したものとして取り扱い、この期間を超えて賞与の支 給が遅れた期間について、年5分に相当する金員を支払わなければならない。

2 被申立人会社と申立人全労連全国一般日本ケミファ労働組合とは、本件命令書交付後、速 やかに賞与における組合休暇の取扱いについての新たな協定の締結に努めることとし、この 協議が整うまでの間、被申立人会社は、同組合が組合休暇の取扱いについて、自らの主張を 維持しつつも、被申立人会社の賞与に関する回答書の支払基準によって妥協することを記載 した文書を提出したとき、遅滞なく支給の手続を行わなければならない。

3 被申立人会社は第1項を履行したときは速やかに当委員会に文書で報告しなければならな い。 
判定の要旨  5005 損害賠償の請求
5145 救済内容が実現不可能
不当労働行為からの救済措置として損害賠償の請求を積極的に否定する明文の根拠はなく、現に賃金の遡及支払いを命ずるにあたって、遅延損害金の意味合いを持つ金員の付加支払いを命ずることが通例であり、救済の程度、内容については労委に広範な裁量が認められ、組合の請求する救済の内容に拘束されるわけではないことからすれば、組合が本件において損害賠償の支払を求めていることをもって不適法な申立てとまではいえないとされた例。

5200 除斥期間
5124 その他の審査手続
組合は平成9年上期以降の賞与の支払いの遅延について同年9月30日に救済申立てを行い、その請求する救済の内容のうち損害額を増額する変更を平成15年7月9日付けで行っているところ、この救済内容の変更は本件審査の過程において当事者が既に主張し、疎明を行っていた平成9年度下期以降の賞与の支払いの遅延について、組合が従前主張していた事実に基づく救済の程度を変更するにとどまるから、申立期間徒過の問題は生じないとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
平成9年度以降の賞与に関する団体交渉において、組合員が組合休暇を使用した場合の不就労分対応額を賞与から控除するか否か及び控除するとした場合にそのことを協定書の支給基準に記載するか否かをめぐる従前からの対立が続き、協定書の締結が遅れて組合員に対する賞与の支払いが遅延しているが、会社は、組合が組休の不就労対応額の支払額を求める要求には固執しないものの、その運動方針上、組休の不就労対応額を賞与から控除する支給基準を協定書に明記することは受け入れがたいものと認識していたにもかかわらず、組休の不就労対応額の控除を了承することを意味する支給基準を明記した協定書の締結を賞与支給の条件とし、組合が同条件を承諾しないことを殊更に捉えて協定書を締結せず、それを理由に組合員に対する賞与の支給を遅らせることによって、かねてから嫌悪していた組合員に経済的不利益を及ぼそうとしたものということができ、さらにその後も同様の対応をとり続けて組合員全体の賞与の支給を遅らせたことは組合員に対する不利益取扱いに該当するとともに、組合の弱体化を意図して行った支配介入に該当するとされた例。

3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社は、仮に賞与から組休の不就労対応額を控除しないという合意があったとしても、賞与の支給基準はその都度の交渉で合意されれば、以前の合意には拘束されないなどと主張するが、本件では、各期の賞与支給時期における交渉で賞与の支給基準に合意を求める会社の組合に対する一連の対応が、不当労働行為に該当する以上、会社の主張が失当とされた例。

業種・規模  化学工業 
掲載文献   
評釈等情報   

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