労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  宮崎紙業 
事件番号  中労委平成16年(不再)第41号 
再審査申立人  宮崎紙業株式会社 
再審査被申立人  宮崎紙業労働組合 
命令年月日  平成17年 4月20日 
命令区分  再審査棄却(初審命令をそのまま維持) 
重要度   
事件概要  会社が、平成15年度賃上げ要求に関する団体交渉において、組合が求めたにもかかわらず、経営内容に関わる具体的な数値の開示とこれに基づく説明を拒否し、さらに従前と異なり、従業員の本給平均額等人件費に関する基礎的な数値を開示しないなど団体交渉を実質的に進展させようとしなかったことが不当労働行為であるとして争われた事件である。初審大阪府労委は、全部救済を命じた。
 会社はこれを不服として再審査を申し立てたが、中労委は、本件再審査申立てを棄却した。 
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  2240 説明・説得の程度
2300 賃金・労働時間
15年賃上げ要求に関する団交において、(1)会社は従前から開示していない売上額等より売上の対前年比の増減割合を開示する方が会社の現状を捉えられると判断したと主張するが、組合が賃上げ回答の根拠となる売上額等の経営に関する基本数値を示して具体的説明を求めているのであるから、会社としては回答内容となった理由を具体的に説明すべきところ、そのような説明を行っているとは認め難いこと、(2)会社はあえて売上額等を開示しなくても、組合も賃上げ額の根拠を理解できるはずであると主張するが、組合は団交において会社回答につき経営の中身に立ち入った説明を求めていることからすれば会社の主張は理由がないこと、(3)会社はその後の一時金交渉において従業員全員の基本給平均額を説明したから、これにより初審命令中基本給平均額等の人件費の状況については説明済みとなり、組合の被救済利益は失われているかの如く主張するが、初審命令が命じている基本給平均額の開示は会社回答の根拠を説明することの一環として求めているのであるから、単に基本給平均額を示しても組合の要求に応えていることにはならず、会社の主張は失当であり、このように会社の再審査における主張はいずれも採用できず、初審命令の判断が相当とされた例。

2232 宣伝活動
2231 組合の不誠実
会社が売上額等の数値の開示を拒んだ主たる理由は、正常化合意書締結後、組合が会社の主要取引銀行の前において会社の経営内容を批判するビラを通行人に配布したことが、正常化合意書に著しく反する行為であるとして、組合に対し強う不信感を抱くに至ったためと認められるが、正常化合意書には「労使間での十分な協議または団交を経ても合意に達しない場合は、その解決を立会人に委ね、労使双方共、立会人の裁定は、無条件で受諾する」旨の記載があること、さらにその立会人である労働者側参与委員らが正常化合意書に反するとして立会人を辞退していること等からすれば、当時の労使関係における組合の活動としては、正常化合意書を締結した信義にもとる活動であったものといわざるを得ないとされた例。

業種・規模  パルプ・紙・紙加工品製造業 
掲載文献   
評釈等情報   

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