概要情報
事件名 |
伸栄 |
事件番号 |
中労委平成16年(不再)第14号
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再審査申立人 |
株式会社伸栄 |
再審査被申立人 |
全日本建設運輸連帯労働組合関東支部 |
命令年月日 |
平成17年 4月 6日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が、組合の申し入れた組合員の未払賃金の支払等に関する団体交渉申入れを、組合員は外注委託契約を締結した個人外注者であって、労働者ではないことが明らかとの理由で拒否したことが不当労働行為であるとして争われた事件である。初審東京都労委は、会社に、組合が申し入れた団体交渉について、組合員が会社の雇用する労働者ではないとして拒むことなく、誠実団交応諾を命じた。 会社はこれを不服として再審査を申し立てたが、中労委は、組合の申し入れに係る団交事項のうち、未だ未解決のままとなっているX1組合員の未払賃金の支払いを議題とする部分に関する誠実団交応諾を命じ、その余の救済申立ては棄却、その余の再審査申立ては棄却した。 |
命令主文 |
Ⅰ 初審命令主文を次のとおり変更する。
1 再審査申立人株式会社伸栄は、再審査被申立人全日本建設運輸連帯労働組合関東支部の 平成15年3月6日付け申入れに係る団体交渉要求事項のうち、未だ未解決となっている 再審査被申立人組合の組合員X1に対する未払い賃金の支払いを議題とする部分(1)X 1の日額を7,500円として未払い賃金額の計算を行うこと、(2)始業前15分・終 業後15分を就労時間として報酬に反映させること、(3)上記(1)及び(2)を前提 として、平成14年10月から同15年12月末までの同人の稼働分のうち、指定作業時 間外の就労に対する割増金を支払うこと)について、誠実に団体交渉に応じなければなら ない。 2 その余の本件救済申立てを棄却する。
Ⅱ その余の本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2130 雇用主でないことを理由
組合員X1は会社の個人外注者として相模原工場においてPC板製造作業に従事しており、その実態は肉体的な労働力を提供しているにすぎないものであって、会社と請負契約関係にあったとは認められず、報酬の決定方法や作業の管理、決定方法からX1が労組法上の労働者でないとする会社の主張は採用の限りではなく、X1を労組法上の労働者とした初審命令の判断は結論において相当とされた例。
2240 説明・説得の程度
2300 賃金・労働時間
初審結審前に行われた団交においては、会社は、個人外注者は労働者ではなく未払い賃金は存在していないとする自らの主張の根拠を説明した事実は認められないこと、また、初審結審後に行われた団交においても、会社は、同様の主張を繰り返したのみであり、このような会社の対応は、誠実に団交を行ったものとは認められず、初審判断は結論において相当であるとされた例。
2242 回答なし
会社は初審結審前後及び初審命令後に行われた団交のいずれにおいても、組合員X1の日額問題に関する組合の団体交渉要求にかかわらず特段の回答をしておらず、また、会社と組合の主張の隔たりは大きく団交を命じても「押し問答」状態に陥ることは予測されないではないが、会社は相模原工場においてX1とほぼ同時期に同種の仕事をし、同工場撤退後、A社に新規雇用されて同種の仕事に従事している作業員の当時の日額を明示するなどして組合の理解を求める努力をすべき余地は残されており、その限度でX1の日額について事実関係を説明し妥当な解決に向けて団交を応諾する義務を負っている解されるとされた例。
2240 説明・説得の程度
2300 賃金・労働時間
会社が組合員X1ら個人外注者に始業前の15分ミーティングへの参加を義務づけていたこと、終業時刻後の就労について15分間を作業時間から差し引いていたこと及びX1に支払った割増金の具体的算出方法について、会社は団交において組合に説明する必要があり、これらの点については、団交を尽くすべきであるとされた例。
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業種・規模 |
窯業・土石製品製造業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
 
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