労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  松蔭学園(賃金差別) 
事件番号  中労委平成13年(不再)第7号 
中労委平成13年(不再)第3号 
再審査申立人  松蔭学園教職員組合(13年第7号) 
再審査申立人  学校法人松蔭学園(13年第3号) 
再審査申立人  個人X1外1名(13年第7号) 
再審査被申立人  松蔭学園教職員組合(13年第3号) 
再審査被申立人  学校法人松蔭学園(13年第7号) 
再審査被申立人  個人X1外1名(13年第3号) 
命令年月日  平成17年 2月 2日 
命令区分  一部変更(初審命令を一部取消し) 
重要度   
事件概要  学園が、組合員2名に対して、昭和54年度から平成10年度までの給与引上げ及び夏期・冬期・年度末一時金の支給を差別したことが不当労働行為であるとして争われた事件である。初審東京都労委は、昭和56年度以降の給与及び55年度冬期一時金以降の一時金について、請求どおりの差別是正及び是正差額の支払を命じ、その他の申立てを棄却した。学園及び組合は、これを不服として再審査を申し立てたが、中労委は、初審命令の一部(是正対象を、平成元年度から10年度までの給与・一時金とすること及び給与の是正水準)を変更し、その余の再審査申立てを棄却した。 
命令主文  Ⅰ 本件初審命令主文を次のとおり変更する。

1 学校法人松蔭学園は、X1の平成元年度から平成10年度までの月額給与及びX2の平成 元年度から平成8年度までの月額給与をそれぞれ下記の〔是正月額給与表〕記載のとおり是 正し、当該是正年度の一時金は〔是正月額給与表〕記載の給与額を基礎として夏期1.8か 月分、冬期3.0か月分、年度末0.2か月分に是正し、是正後の金額から支給済み給与及 び一時金並びに東京地裁における賃金仮払い仮処分請求事件の和解による仮払金を控除した 金額に年5分の割合による金員を付加して支払わなければならない。

2 X1及びX2に対する昭和55年度の冬季・年度末一時金支給差別並びに昭和56年度及 び昭和58年度から昭和63年度までの給与引上げ及び夏季・冬季・年度末一時金支給差別 に係る救済申立てを却下する。

3 松陰学園教職員組合並びにX1及びX2のその余の救済申立てを棄却する。

Ⅱ 学校法人松陰学園のその余の本件再審査申立て並びに松陰学園教職員組合、X1及びX2 の本件各再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  5201 継続する行為
5200 除斥期間
各年度における昇給の決定行為とこれに基づく給与支払は一体として一個の不当労働行為を構成するというべきであり、昇給決定行為に基づく最後の給与支払時から1年以内になされた救済申立ては適法なものと解されるから、本件X1及びX2に対する昭和56年度から昭和63年度までの昇給差別に関する救済申立てのうち57年度の昇給差別については労組法27条2項の期間内になされた適法なものであるが、その余の年度の申立ては申立期間を徒過した不適法なものとして却下された例。

5200 除斥期間
5201 継続する行為
各年度における一時金支給行為はその都度完結する一回限りの行為というべきであり、一時金支給行為から1年以内になされた救済申立てに限り適法なものと解されるから、本件X1及びX2に対する昭和55年度から昭和63年度までの一時金差別に関する救済申立てのうち昭和57年度夏期・冬期一時金差別については労組法27条2項の期間内になされた適法なものであるが、その余の年度の申立ては申立期間を徒過した不適法なものとして却下された例。

5200 除斥期間
平成元年度以降のX1及びX2に対する昇給及び一時金差別に関する申立ては、学園が合理的な回答を行わないため妥結に至っておらず、妥結していないことを理由に昇給を実施せず、一時金を支給していないのであるから、未妥結の状態が続いているというべきであって、除斥期間の問題は生じないとされた例。

5201 継続する行為
初審命令が、X1及びX2に対する昭和55年度から昭和63年度まで(昭和57年度を除く)の昇給及び一時金に係る学園の行為が「継続する行為」に該当するとして、当該救済申立てを適法なものと判断した初審命令の当該部分は失当であるとして取り消された例。

1201 支払い遅延・給付差別
1203 その他給与決定上の取扱い
昭和57年度の昇給及び一時金について組合員X1及びX2と非組合員との間に格差が存在するものの、労使交渉の結果、組合の妥結した協定に基づくものであって不当労働行為といえないとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
1203 その他給与決定上の取扱い
学園は組合員X1及びX2に対して平成元年から平成10年度までの昇給を実施せず、一時金を支給しなかったのは、組合と賃上げ及び一時金に関する協定が妥結していなかったためであると主張するが、(1)組合結成以来学園は実質的な交渉に応じない態度をとるに至っていること、(2)X1及びX2に対する昇給及び一時金の回答額は非組合員の支給実績と格差が存在すること、(3)合理的な理由を示さないまま非組合員に比べ低額な回答を提示してそれに固執し、組合がそのような回答を受諾せず、未妥結であることを理由に回答した昇給を実施せず、一時金を支給しないのであるから、かかる学園の行為は、他の非組合員と差別して両名の給与等を昭和63年度の水準に据え置くものであって、労組法第7条第1号の不当労働行為に該当するとした初審判断は相当とされた例。

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献   
評釈等情報   

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