概要情報
事件名 |
本四海峡バス |
事件番号 |
兵庫地労委 平成15年(不)第5号
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申立人 |
X3 |
申立人 |
X2 |
申立人 |
X1 |
申立人 |
全日本港湾労働組合関西地方神戸支部 |
被申立人 |
全日本海員組合 |
被申立人 |
本四海峡バス株式会社 |
命令年月日 |
平成16年11月 2日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
会社が(1)支部の組合員3名に対して自宅待機を命じ、基準内賃金のみを支給し、賃金を減額したこと、(2)同人らの原職への復帰の条件を議題とする団交に応じないこと、(3)別組合が会社と共同して組合員3名の原職復帰を妨害したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、会社に(1)組合員3名に対する自宅待機処分の取消し、原職復帰及びバックペイ(年5分加算)、(2)同人らの原職復帰の条件を議題とする団体交渉応諾を命じ、会社に対するその余の申立ては棄却し、別組合に対する申立ては却下した。 |
命令主文 |
1 被申立人本四海峡バス株式会社は、申立人X1、X2及び同X3に対して行った平成15年3月14日付け各自宅待機処置を取り消し、同人らを原職に復帰させるとともに、同人らに対し、同年2月28日から原職に復帰させるまでの間、同人らの解雇前3か月間の平均賃金を基準に算定した本来支払われるべき賃金と既に支払われた賃金の額との差額を算定し、その差額に年5分の割合による金員を加算して、各人に支払わなければならない。 2 被申立人本四海峡バス株式会社は、申立人全日本港湾労働組合関西地方神戸支部が平成15年3月3日に申し入れた申立人X1、同X2及び同X3の原職への復帰の条件を議題とする団体交渉について、誠意をもって応じなければならない。 3 申立人らの被申立人本四海峡バス株式会社に対するその余の申立てを棄却する。 4 申立人らの被申立人全日本海員組合に対する申立てを却下する。 |
判定の要旨 |
4916 企業に影響力を持つ者
(1)海員組合は会社の設立に協力したこと、(2)海員組合は会社の発行済株式総数の過半数を保有し、会社が本社機能を海員組合の所有する建物に移したこと、(3)元組合役員が代表取締役専務及び常務取締役に就任していることなどの事実を総合して判断すると、海員組合が会社の経営面に対してある程度の影響力を有していることは否定できないが、いずれも、海員組合が労働者の労働条件を直接に決定したり、労働者を直接指揮監督していたことをうかがわせるに足る事情でなく、会社と海員組合との労使協定により、会社の運転士として採用募集する応募者は会員組合の組合員等でなければならないと定められていることも、会社設立時の経緯から、海員組合の組合員を優先的に会社従業員として採用するよう働きかけるものであって、このことも、海員組合が会社従業員の採用の決定権を有していると認められるべき事情ではないのであるから、本件諸事情の下においては、いまだ海員組合が雇用主と同視できる程度に労働者の労働条件について現実的かつ具体的に支配力を及ぼしていたものと認めることはできないので、海員組合は、労組法第7条にいう使用者とは認められないとされた例。
1604 その他
2620 反組合的言動
2625 非組合員化の言動
会社が組合員X1ら3名に対する自宅待機措置の根拠として主張している人員の余剰については、X1ら3名解雇後、新たに運転士を採用していることなどからみる限り、合理的な理由を欠くものであるといわざるを得ず、支部と会社との間の労働委員会や裁判所での長年の係争などから、会社と支部及び分会との間には、分会結成以降、激しい対立・緊張関係が継続していること、X1ら3名は、分会結成の中心的存在であり、分会活動の中心的役割を担ってきていること及び右で判断したとおり自宅待機措置及びそれに伴う賃金減額措置について合理的理由は認められないことなどの事実を併せ考えると、本件減額措置及びそれに伴う賃金減額措置は、会社が分会の結成及び組合活動を嫌悪して行った不利益取扱いであるとともに、分会の弱体化を意図してなされた組合に対する支配介入であるというべきであるとされた例。
2113 交渉団体として不適格
2240 説明・説得の程度
2252 署名・調印拒否
会社は組合からの本件団交の申入れを受け、数回にわたり組合との折衝を行ったことが認められるが、会社の姿勢をみるに、組合の存在を認め、団交を行うとしながらも、会社と組合の間には労使関係が確立していないとして、実質的に組合を団交の相手方として認めず、合意が成立したとしても協定書の作成については拒否するとの立場をとっているのであるから、このような姿勢で臨んでいる折衝を団交と認めることはできず、その内容をみても、本件団交の申入れ事項については、会社の方針を繰り返し示すだけで、自宅待機措置の理由や基準内賃金のみを支給することについての根拠を一切説明しておらず、これをもって実質的な団交が行われたものと認めることはできないとされた例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(バス専業) |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
 
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