労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  エッソ石油(エクソンモービル) 
事件番号  大阪地労委 昭和59年(不)第51号 
大阪地労委 昭和59年(不)第80号 
申立人  スタンダード・ヴァキューム石油自主労働組合 
被申立人  エクソンモービル有限会社 
被申立人  個人Y1外5名 
命令年月日  平成16年11月 5日 
命令区分  棄却(命令主文が棄却のみ又は棄却と却下) 
重要度   
事件概要  本件は、会社が、(1)組合の組合員の争議行為時の暴行、傷害等の実行行為等を理由として、組合員5名を懲戒解雇処分に処するとともに、組合員7名を出勤停止処分にしたこと、(2)同社が懲戒解雇した同組合の組合員に対し住宅融資金等の一括返済を求めたこと、(3)同社が大阪支店の労務担当としてY7を配置したこと、(4)同社の役員らが、就業時間外に同組合の組合員に会食を強要したことが、不当労働行為であるとして、争われた事件で、(1)会社役職者6名に対する申立ては却下、(2)会社に対する申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人Y1、同Y2、同Y3、同Y4、同Y5及び同Y6に対する申立てを却下する。
2 被申立人エクソンモービル有限会社に対する申立てを棄却する。 
判定の要旨  4916 企業に影響力を持つ者
12名の組合員に対して行われた本件懲戒解雇等の申渡書は、会社の人事部長及び組合員それぞれが所属する部の部長の連名で作成、交付されたこと等が認められるが、会社の代表権のない取締役又は部長級の従業員にすぎない被申立人6名が、たとえ従前からの慣行により懲戒処分の申渡書が被申立人6名の名義で発行されたからとはいえ、これをもって、個人としての従業員の労働条件に現実的かつ直接的な影響力ないし支配力を及ぼし得る地位にあったとまで認めることはできないから、被申立人6名に対する申立ては却下するとされた例。

0203 職場闘争と業務妨害
0208 暴力・不穏当な言動を伴った組合活動
本件は4.20スト及び4.20事件は組合と会社の対立の中で生じたものであるが、同ストの目的には、会社の監督者に対する糾弾が含まれているなど個人攻撃を主要な目的の一つとしており、また、その態様において、支店事務所内への乱入、支店長室への侵入、監督者への暴行行為など明らかに正当な争議行為としての範囲を逸脱しているといわざるを得ないとされた例。

0203 職場闘争と業務妨害
0208 暴力・不穏当な言動を伴った組合活動
組合員X1、X2、X3、X4、X5の懲戒解雇については、4.20ストに関し、X1は中央書記長、X2は中央執行委員長という立場において違法な指導・指揮した責任があり、上記5名の組合員らが監督者に暴行を加えたこと、本件支店長室に侵入したこと、X1とX4は過去一年間にわたって、上司の業務指示に全く従わず、ほとんど仕事をしなかったことが就業規則第61条、第62条に該当し、さらに情状として個々が受けた過去の処分を考慮して懲戒解雇したことが事実として認められるが、4.20スト及び一連の4.20事件は、正当な争議行為の範囲を逸脱したものであったこと等の事実からすると、会社の5名に対する処分は、就業規則上の処分事由に基づくものとして一応の理由があり、不当労働行為であるとまではいうことができないとされた例。

0203 職場闘争と業務妨害
0208 暴力・不穏当な言動を伴った組合活動
1400 制裁処分
組合員X6、X7、X8、X9、X10、X11、X12の出勤停止処分については、4.20事件に積極的に加担し、本件支店長室に侵入したこと、監督者に暴行を加えたこと、またX9、X10は組合の中央執行副委員長として4.20事件を企画、立案したこと等が就業規則第62条に該当し、就業規則第60条を適用して上記7名を出勤停止処分にしたことが事実として認められるが、4.20スト及び一連の4.20事件は、正当な争議行為の範囲を逸脱したものであったこと等の事実からすると、会社の7名に対する処分は、就業規則上の処分事由に基づくものとして一応の理由があり、不当労働行為であるとまではいうことができないとされた例。

3106 その他の行為
会社は4.20事件への関与を理由に懲戒解雇したX1、X2、X3に対し融資を受けた債務残額の全額について、一括返済をするよう求め、同月融資を行った銀行がX2、X3に対し融資残金についての一括返済を求める「催告書」を送付したことが認められるが、上記3名の解雇が不当労働行為に当たらないことは、上記判断要旨3の判断のとおりであり、会社の財形住宅融資制度及び財形住宅融資制度になる前の会社の住宅融資制度では、従業員が償還期間中に、どのような理由によるも会社を退職して従業員たる資格を失った時は、直ちに銀行に対する債務残額の全額を返済しなければならない旨規定されていたことが認められることから、会社及び銀行が3名に対して債務残額の全額の一括返済を求めたことは、不当労働行為には当たらないとされた例。

3106 その他の行為
会社がY7を労務担当として大阪支店に配置したことについては、Y7が組合から敵視されていたこと、組合に強硬な態度をとったことは認められるが、本件配置が不当労働行為のもみ消しや組合の支部潰しのためであったとまでは認めるに足る疎明はないから、組合のこの点に関する申立ては棄却するとされた例。

3106 その他の行為
会社役員の会食強要については、会食当日が組合が時間外勤務拒否の通告を行っていた日であるとはいえ、会社が、分会の組合員に対し、会食への出席を強要したと認めるに足る疎明はなく、また会社が組合の団結の分断及び組合の弱体化を企図して会食への出席を要請したとも認められないから、組合のこの点に関する申立ては棄却するとされた例。

業種・規模  石油製品・石炭製品製造業 
掲載文献   
評釈等情報   

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