概要情報
事件名 |
泉和清掃輸送 |
事件番号 |
大阪地労委 平成15年(不)第36号
大阪地労委 平成15年(不)第57号
大阪地労委 平成16年(不)第5号
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申立人 |
全日本港湾労働組合関西地方建設支部 |
申立人 |
全日本港湾労働組合関西地方本部 |
被申立人 |
泉和清掃輸送株式会社 |
命令年月日 |
平成16年 9月30日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、(1)賃金引上げ等の要求に対し具体的な資料に基づく説明を行わない等の不誠実な対応を行っていること、(2)X1に対し担当業務の変更により、実質的な賃金の引下げを図ったこと、(3)組合を脱退した従業員X2の賃金を引上げたことが不当労働行為であるとして、争われた事件で、文書交付を命じた。 |
命令主文 |
被申立人は、申立人全日本港湾労働組合関西地方本部及び申立人全日本港湾労働組合関西地方建設支部に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。 記 年 月 日 全日本港湾労働組合関西地方本部 地方執行委員長 X2 殿 全日本港湾労働組合関西地方建設支部 支部執行委員長 X3 殿 泉和清掃輸送株式会社 代表取締役 Y1 当社が、貴全日本港湾労働組合関西地方本部及び全日本港湾労働組合関西地方建設支部から申入れのあった賃金引上げなどに関する団体交渉において当社の経営状況を具体的に示さないなど不誠実な対応を行なったこと、貴全日本港湾労働組合関西地方本部及び貴全日本港湾労働組合関西地方建設支部の組合員の担当業務をストライキ直後に変更したこと及び貴全日本港湾労働組合関西地方建設支部を脱退した従業員のみの賃金を引き上げて優遇したことは、大阪府地方労働委員会において労働組合法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為はいたしません。 |
判定の要旨 |
2240 説明・説得の程度
組合が、会社が賃金の引上げができないことに関して会社の経営状況の具体的説明を求めたのに対し、会社は会社を取り巻く一般的な状況についての説明をしたのみで、売上げ等の具体的な経営状況を示すことを拒否しているため、会社は組合に対し、十分な説明や理解を得る努力を尽くしたとまでは認められず、かかる会社の行為は労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとされた例。
1300 転勤・配転
3501 労働者の行為と不利益取扱の時期との関連
3700 使用者の認識・嫌悪
4600 対抗的団体に対する措置(解散・団交禁止・協定破棄・経費援助の停止等)に触れた例
X1の担当業務変更においては、スト当日の人員確保に労を要した会社が、ごみ収集業務については組合がストライキを行った場合の欠員による影響が大きいとして、X1の担当業務を変更したことは理解できるが、ストの直後にこれを決定し、翌日にX1に申し渡していること、人員確保はX1以外の者でも対処できることからすれば、会社の行ったX1の担当業務変更は、組合の行うストライキを嫌悪した会社が、組合のストライキを牽制しようとしてなした行為であり、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であるが、本件配転そのものが直ちにX1に対して労働条件の不利益変更を図る目的としたということはできないとされた例。
2900 非組合員の優遇
会社が団交において、組合に経営状況に関する資料提示を拒否していることや、スト翌日に組合員の担当業務を変更する等の反組合的姿勢があること及び会社と組合との労使関係を考え合わせると、組合を脱退したX4の賃金引き上げは、会社と組合が対立している状況下で、賃金面で組合脱退者を優遇することにより、組合弱体化を企図したものであり、かかる会社の行為は、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
会社には従業員である組合員は存在しなくなったが、これにより組合らが受けた組合活動の弱体化という事実は消失することはないから、組合らが救済を受ける利益は失われることはないとされた例。
2112 雇用する従業員不存在
4300 労組法7条2号(団交拒否)の場合
賃金引き上げができないことに関して売上げ等の会社の具体的な経営状況を組合に示すことを拒否したという会社による不誠実団交の事実についても、会社に組合員たる従業員が存しなくなることにより、その事実が消失することはないのであるから、組合らが救済を受けるすべての利益が失われることはないとされた例。
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業種・規模 |
廃棄物処理業 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
 
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