概要情報
事件名 |
三和交通 |
事件番号 |
大阪地労委 平成14年(不)第47号
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申立人 |
自交総連三和交通労働組合 |
被申立人 |
三和交通株式会社 |
命令年月日 |
平成16年 9月10日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、(1)団交において決定権限のある者を出席させない等、不誠実な対応に終始したこと、(2)就業規則等の改正に当たり、従業員代表と協議する一方、約束に反して組合とは協議しなかったこと、(3)親睦会には認めている便宜供与を組合には認めなかったことが不当労働行為であるとして、争われた事件で、会社に対して(1)「教養室」の一時利用を認める方向での誠実協議、(2)従前と同一条件での掲示板使用許可の更新、(3)前記(1)(2)に関する文書手交を命じ、チェックオフ協定締結に係る申立ては却下、その余の申立ては棄却をした。 |
命令主文 |
1 被申立人は、関係者間の利用の調整に努め、「教養室」の一時利用を認める方向で、申立人と誠実に協議しなければならない。 2 被申立人は、申立人に対し、被申立人が従前認めていた条件による掲示板の掲示について、許可の更新をしなければならない。 3 被申立人は申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。 記 年 月 日 自交総連三和交通労働組合 執行委員長 X1 殿 三和交通株式会社 代表取締役 Y1
当社が、貴組合の教養室の一時利用を一旦は認める方向で検討すると回答していたにもかかわらず合理的な理由なく拒否したこと及び貴組合に対し書面による手続に拘泥し従前認めてきた条件による掲示板の掲示の許可を更新しなかったことは、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 4 申立人のチェック・オフ協定の締結に係る申立てについては、却下する。 5 申立人のその他の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
2120 交渉委任
不誠実団体交渉の申立てについては、会社社長は、組合結成以降一度も出席していないが、会社側出席者は営業部長と会社の代理人弁護士であるから、当然交渉権限があるとみるべきであり、出席者に問題はなく、社長が団体交渉に出席しないことをもって会社の対応が不誠実であるとはいえず、また、組合は、最賃補償要求への会社の対応が不誠実とするが、具体的事実を疎明していないので、この点に関する申立ては棄却するとされた例。
2307 その他
就業規則等の改定については、会社には組合も含めて労働者の過半数を超える労働組合が存在しないため、会社が選挙により組合員も含めて従業員全体の代表者の選出を求め、その代表者との間で交渉・協議を行ったのであって、問題はないこと、代表者選出に当たり、会社が組合を無視した形で選挙を強行し、親睦会の利益を代表する者を選んだとは認められないこと、会社が就業規則の改定等に関し組合との間で事前協議を約した認める疎明がなく、会社が組合に協議しなかったからといって、会社の組合を無視した支配介入行為とはいえないことから、就業規則改定等についての申立ては棄却するとされた例。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
組合への組合事務所貸与及び掲示板許可においては、会社が組合に対し、「教養室」の一時利用を一旦は認める方向で検討すると回答していたにもかかわらず合理的な理由なく拒否したこと、及び書面による手続に拘泥し、会社が従前認めていた条件による掲示板許可の更新をしないことは、組合弱体化を図った支配介入行為であり、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であるされた例。
4417 条件付命令・協議命令
組合は、組合事務所の貸与を求めるが、会社は平成12年11月10日に行なった組合の回答に沿って、「教養室」の一部利用について組合と協議すべきであるから、主文1を命ずるのが相当である。
2803 その他
5008 その他
チェック・オフ協定の締結に応じていないことについては、会社と組合の間には労基法24条1項の要件を満足させる書面による協定がないのであるから、会社が組合との間でチェック・オフ協定を締結する余地はなく、組合の請求は法令上実現不可能であるので、この点に関する申立ては却下するとされた例。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
 
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