概要情報
事件名 |
神戸市・神戸市教育委員会 |
事件番号 |
中労委 平成12年(不再)第62号
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再審査申立人 |
大阪教育合同労働組合 |
再審査被申立人 |
神戸市教育委員会 |
再審査被申立人 |
神戸市 |
命令年月日 |
平成16年10月20日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
市教委が、(1)市教委から有期雇用契約を更新しないと通告された労組法適用組合員が加入した組合との団交において、契約を更新しない理由は個別に説明するなどと回答したこと、合意事項の書面化に応じなかったこと、(2)組合員の契約を更新しなかったことが不当労働行為であるとして、争われた事件で、大阪地労委は、市に対する申立ては却下又は棄却し、市教委に対する申立ては却下した。組合は、これを不服として再審査を申し立てたが、中労委は、市に対する申立てを却下した部分を棄却に変更したほかは、その余の再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
Ⅰ 初審命令主文第1項及び第2項を次のとおり改める。 「1 被申立人神戸市に対する申立ては棄却する。」 Ⅱ 初審命令主文第3項を第2項に繰り上げる。 Ⅲ その余の再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
4822 混合組合
地公法が適用される組合員が大多数であるからといって、組合は地公法上の職員団体としてしか認められないとすると、労組法が適用される組合員の労働条件を労組法上の使用者に対する団交により解決する手段を持ち得ないこととなり、ひいては労働組合加入の自由及び労働組合選択の自由を侵しかねず、本件申立てについては、組合を労組法上の労働組合として、労組法が適用される組合員の労働条件に関し、使用者に対して労組法上の権利を行使することができるとともに、労組法7条各号の別問わず、不当労働行為制度による救済を申し立てる適格性を有するものと認めることが相当であるとされた例。
4905 経営補助者
不当労働行為救済命令の名宛人とされる使用者は、法律上独立した権利義務の主体であることを要するが、市教委は地方公共団体である市の一執行機関に過ぎないから、市教委にかかる申立てを却下した初審命令は相当であるとされた例。
1106 契約更新拒否
市が組合員15名の雇用契約を更新しなかったことについては、市が契約更新をしないことを決定後、それを通知したのは、市が組合員数名の組合加入通告を受けた10日以上前のことであることからすると、更新しなかったことは、不当労働行為に該当しないとした初審命令は相当であるとされた例。
2240 説明・説得の程度
2249 その他使用者の態度
市は組合からの申入れ事項にそれぞれ対応して説明あるいは回答しているのであって、このような説明・回答をもって不十分であるとはいえないこと、雇止めは、予算の削減方針に基づくものであり、予算案が議会に提出された後の段階においては、議会の決定に委ねると回答したとしても、そのことをもって、不誠実な対応ということはできないこと、契約を更新しない理由について、組合員から申入れがあれば個別に説明するとしたことは、プライバシーに配慮したものであること等からすれば、市の団交における回答や説明が不誠実なものであったということはできないとされた例。
2249 その他使用者の態度
市は、組合から申入れのあった協定書(案)について、書面化に応じなかったが、本件においては、当該事前協議約款の文言の理解の仕方に、労使双方の間に、食い違いがあったものといえ、交渉の経緯及び協定書(案)の内容からすれば、市と組合との間において、組合が提示した協定書(案)に盛り込まれていた事前協議約款についてまで、合意が成立していたとまではいうことはできず、その書面化に応じなかったことをもって労組法7条2号の不当労働行為に当たるということはできないとされた例。
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業種・規模 |
地方公務(市町村機関) |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
中央労働時報 2005年 3月10日 1038号 13頁 
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