労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  杉並区 
事件番号  東京地労委 平成12年(不)第105号 
申立人  連帯労働者組合 
被申立人  杉並区 
命令年月日  平成16年 3月16日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  区が、(1)非常勤職員である組合員X1の解雇撤回、雇用年限制度の撤廃等に関する組合の団体交渉申入れに、既に組合所属の非常勤職員はいなくなったこと等を理由に応じなかったこと、(2)非常勤職員雇用年限制度を設けたこと、(3)本件申立て後、区の文書交換便から、組合の文書のみを抜き取る等して排除したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、区に対し、組合からの文書交換便利用の申し出について、事務処理要領に基づいた手続の履践及び理由を明らかにした諾否の回答を命じ、その余の申立てについては、却下又は棄却した。 
命令主文  1 被申立人杉並区は、申立人連帯労働者組合が被申立人区に対し、組合文書の文書交換便利用を申し出たときは、杉並区交換便事務処理要領に基づいた手続きを履践の上、申立人組合に対して諾否を回答し、その理由を明らかにしなければならない。
2 平成10年3月26日以前の不誠実団体交渉に関する申立てを却下する。
3 その余の申立てを棄却する。 
判定の要旨  5200 除斥期間
組合が主張する団体交渉における区の不誠実な対応については、本件申立てに係る団体交渉は、いずれも本件申立日の1年以上前に行われたものであるから、救済の対象にはなり得ないとして、却下された例。

2112 雇用する従業員不存在
地公法第3条第3項第3号に該当する非常勤職員は労組法適用の労働者であり、これを組合員として組織する職員団体ないし労働組合は、同組合員の労働条件に関し、地方公共団体を労組法上の使用者とする地位に立ち、地方公共団体は原則としてこのような労働組合との団体交渉に応ずべき地位にあると解するのが相当であるから、区は、非常勤職員であるX1の雇止めを交渉議題とする団体交渉に応ずべき立場にあったとされた例。

2300 賃金・労働時間
X1は区との間で雇止めを争い、組合がこのことについて団体交渉を申し入れている以上、団体交渉を拒否できないというべきであるが、雇用年限制度の撤廃及びパート・嘱託員の労働条件に関する事項についてはX1の雇止め撤回に係る組合の要求に関連を要する事項であることは否定できないとしても、本件においては義務的交渉議題とすることはできないとされた例。

2250 未妥結・打切り・決裂
X1の雇用年限満了直前の14回にわたる団体交渉において、組合及び区は互いに譲歩の余地を一切示さず、交渉が行き詰まり、労使が合意に達する可能性は全く失われていたこと等から、区が同一の交渉議題についての団体交渉に応じなかったことには正当な理由があると認められ、区の対応を不当労働行為であるとすることはできないとされた例。

2620 反組合的言動
非常勤職員に雇用年限は、組合が結成されるより相当前に区の非常勤職員の任用制度として採用されていたのであるから、区が組合の結成や組合への加入を阻止する支配介入の意図の下に、非常勤職員に雇用年限を設けたとみることはできず、このことが組合の影響力の減殺等を図っているともいえないとされた例。

2620 反組合的言動
区が一方的に文書交換便から組合の文書を抜き取り、組合への事前の通知ないし説明もなしに組合の交換便利用を排除したことは、文書交換便制度を正すための取扱いの変更であったとしても、組合に対する手続としては誠意を欠いた不適正なものといわざるを得ず、組合の区における影響力を排除するために行われた支配介入であるとされた例。

4603 その他
区が文書交換便制度を適正な運用に改めること自体は、責められるべきではないが、本件では、区が組合に対して誠意ある適正な手続を履践しないために不当労働行為とされたのであるから、組合が組合文書の交換便利用を申し出たときは、交換便要領に基づいた手続を履践の上、組合に対して諾否を回答し、その理由を明らかにする必要があるとして、その旨を命じた例。

業種・規模  地方公務(市町村機関) 
掲載文献   
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委 平成16年(不再)第34号 棄却 平成18年8月2日
 
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