概要情報
事件名 |
神奈川県厚生農業協同組合連合会 |
事件番号 |
神奈川地労委 平成14年(不)第29号
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申立人 |
神奈川県厚生農業協同組合連合会労働組合 |
被申立人 |
神奈川県厚生農業協同組合連合会 |
命令年月日 |
平成16年 5月20日 |
命令区分 |
全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) |
重要度 |
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事件概要 |
連合会が、(1)社内預金の利率の改定問題及び36協定締結問題に関する組合からの団交申入れに対し、団体交渉の開催を引き延ばす等して応じなかったこと、(2)交通費不正受給を理由として副委員長X1を減給処分にしたことが不当労働行為であるとして争われた事件で、連合会に対し、(1)誠実団交応諾、(2)団体交渉を引き延ばすなどしての支配介入の禁止、(3)X1に対する減給処分がなかったものとしての取扱い、(4)文書手交を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、厚生預金の利率の改定問題及び三六協定の締結問題について、申立人との団体交渉に誠実に応じなければならない。 2 被申立人は、申立人との団体交渉の開催を引き延ばし、申立人の団結権を侵害するなどして、その運営に介入してはならない。 3 被申立人は、申立人組合員X1に対する減給処分がなかったものとして取り扱わなければならない。 4 被申立人は、本命令受領後、速やかに下記の文書を縦1メートル、横1.5メートルの白紙にかい書で明瞭に記載し、被申立人の本所、伊勢原協同病院及び相模原協同病院の従業員出入口付近の見やすい場所に、毀損することなく10日間掲示しなければならない。 記 当会が、貴組合との団体交渉の開催を引き延ばし、貴組合の団結権を侵害するなどしたことは労働組合法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為であり、貴組合員X1を減給処分にしたことは同条第1号に該当する不当労働行為であると神奈川県地方労働委員会において認定されました。 今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。 平成 年 月 日 神奈川県厚生農業協同組合連合会労働組合 執行委員長 X2 殿 神奈川県厚生農業協同組合連合会 代表理事 Y1 |
判定の要旨 |
2245 引き延ばし
2620 反組合的言動
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
連合会は、社内預金の利率引下げを急いでいたが、組合から別組合が労基法上の労働者の過半数に達していないことを指摘されたことから、やむなく組合要求の緊急生活資金についての合意をもって、利率の引下げも合意しようとしたところ、組合が他組合との協議が必要であるとの意向を示したこと、別組合が非組合員に対して三六協定等の締結に係る署名を募り始めたことから、組合との団体交渉を引延ばし、別組合が労基法上の労働者の過半数に達する署名を集めたと判断した時点で組合との団体交渉を行い、事実上組合との団体交渉を無意味なものとしたが、このような連合会の対応は労組法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。
1400 制裁処分
3603 労働者に落度がない場合
連合会は、平成7年頃から組合と対立状態にあり、脱退勧奨に係る不当労働行為救済申立事件等を巡り対立関係を深めていくなか、支部において組合活動上重要な役割を果たしていたX1副委員長を交通費申請経路と実際の通勤経路が異なっていることを奇貨として殊更に懲戒処分の対象としたが、同副委員長の交通費支給申請自体は交通費支給内規に違反していない上、交通費の差額を不正に領得する意思をもって支給申請書を提出していたとの疎明もないことから、懲戒処分の合理性は認められず、X1に対する本件減給処分は、労組法第7条第1号に該当する不当労働行為であるとされた例。
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業種・規模 |
協同組合 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
 
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