概要情報
事件名 |
愛媛県国民健康保険団体連合会 |
事件番号 |
愛媛地労委 平成14年(不)第2号
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申立人 |
愛媛県国民健康保険団体連合会職員労働組合 |
被申立人 |
愛媛県国民健康保険団体連合会 |
命令年月日 |
平成16年 4月30日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
連合会が、(1)組合員2名を業務命令に従わないとして戒告処分に処し、定期昇給を延伸させたこと、(2)組合員の勤務時間中の団交出席を一方的に欠勤扱いにして、賃金カットをしたこと、(3)団体交渉において常務理事が十分な説明を行わず、理事長の出席申入れを拒否したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、連合会に対し、(1)組合員2名の戒告処分がなかったものとしての取扱い及び定期昇給したものとしての取扱い、(2)団交出席組合員の欠勤扱いのなかったものとして取扱い、バックペイ、(3)理事長が出席した上での誠実団交応諾、(4)文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、X1、X2に対する平成14年8月9日付けの戒告処分をなかったものとして取り扱うとともに、平成14年10月1日付けで昇給したものとして取り扱わなければならない。 2 被申立人は、平成14年8月19日の団体交渉に出席したX3、X4、X5、X6、X7、X8、X9及びX10に対する欠勤扱いをなかったものとして取り扱うとともに、欠勤時間相当分の金員を支払わなければならない。 3 被申立人は、整理整頓問題に関する団体交渉に理事長が出席し、誠意をもって団体交渉に応じなければならない。 4 被申立人は、申立人に対し、本命令書の写しの交付の日から7日以内に、次の文書を手交しなければならない。(注:年月日は手交した日を記載すること。) 記 平成 年 月 日 愛媛県国民健康保険団体連合会 職員労働組合 執行委員長 X11 殿 愛媛県国民健康保険団体連合会 理事長 Y1 印 当連合会が行った次の行為は、愛媛県地方労働委員会において、不当労働行為と認定されましたので、今後はこのような行為を繰り返さないようにいたします。 記 1 X1、X2の両組合員に対して、平成14年8月9日付け戒告処分を行ったこと及び前回昇給から12か月が経過した平成14年10月1日に昇給させなかったこと。 2 X3、X4、X5、X6、X7、X8、X9及びX10の各組合員に対して、従来の慣行に反して平成14年8月19日の団体交渉出席を欠勤として取り扱い、欠勤時間相当分の賃金を減額したこと。 3 整理整頓問題に関する団体交渉について理事長が出席せず、誠意をもって団体交渉に応じなかったこと。 以上 5 申立人のその余の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
1202 考課査定による差別
1400 制裁処分
組合員2名に対する戒告処分は、懲戒処分の前提となる整理整頓の指示内容が職員によって異なり、判断基準の合理性にも問題があるうえ、組合員2名の机の状態がどの点で支障があるのか検討することなく処分したもので合理性を欠き、懲戒権の濫用に当たること、連合会の言動等からすると整理整頓問題に藉口して両名の懲戒処分を行ったものといわざるを得ないこと、連合会は本件処分がなければ両人を定期昇給させていたとしていること等から、両名に対する戒告処分及び定期昇給延伸は、労組法第7条第1号に該当する不当労働行為であるとされた例。
1204 スト・カット
従来の慣行を一方的に変更して勤務時間中の団体交渉出席者の賃金をカットすることは、労組法第7条第1号に該当する不当労働行為であるとされた例。
2240 説明・説得の程度
2249 その他使用者の態度
本件戒告処分の根拠の説明を求めたのに対し、常務理事が裁判になったら話す等回答していること、同理事が処分権限は理事会にあるとして説明を回避している以上組合が理事長の出席を求めるのはやむを得ないものであること、連合会は譲歩の意思がないから団交に応じるつもりはないとするが、交渉を尽くしたものとはいえないこと等からすると、連合会が団交に出席した常務理事が十分な説明を行わなかったこと及び理事長の出席を拒否したことは誠意ある交渉態度とは認められず、労組法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとされた例。
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業種・規模 |
協同組合 |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
 
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