労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  (学)鹿島学園 
事件番号  茨城地労委 平成13年(不)第4号 
茨城地労委 平成14年(不)第2号 
茨城地労委 平成14年(不)第6号 
申立人  個人X2外9名 
申立人  鹿島学園高等学校教職員組合 
被申立人  学校法人 鹿島学園 
命令年月日  平成16年 2月27日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  学園が、(1)組合員4名をクラス担任等としなかったこと、(2)組合員1名の授業持ち時間を削減したこと、(3)組合員に対して賞与の支給差別をしたこと、(4)団体交渉について交わされた「確認書」における確認事項を取り消したこと、(5)組合員1名に対して、期限付教諭辞令を交付したこと、(6)組合員1名をバレーボール部顧問から外したことが不当労働行為であるとして争われた事件で、学園に(1)組合員4名のクラス担任等決定における不利益取扱いの禁止、(2)授業持ち時間数の決定における不利益取扱いの禁止、(3)賞与差額相当額の支払、(4)団体交渉で確認した確認事項の取消等通知の撤回を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は申立人X2、同X4、同X1及び同X9に対して、今後、学年主任、クラス担任及びクラス副担任の決定に当たって、申立人組合の組合員であること及びその組合活動を理由に不利益取扱いをしてはならない。
2 被申立人はX2及び同X9に対して、今後、授業持ち時間の決定に当たって、申立人組合の組合員であること及びその組合活動を理由に不利益取扱いをしてはならない。
3 被申立人は、平成13年度夏季及び冬季賞与について、申立人X3、同X4、同X5、同X1、同X7、同X8及び同X9に対して、また、同年度冬季賞与について同X2及び同X10に対して、それぞれ同人らが被申立人の教職員に対する平均支給月数で支給されていれば得たであろう賞与相当額と、現実に支払われた額との差額を各人に支払わなければならない。
4 被申立人は、申立人組合に対して、平成12年9月13日付で行った、同年1月26日から同年3月31日までの間の団体交渉において確認した事項をすべて取り消す又は解約する旨の通知を撤回しなければならない。
5 申立人らのその余の申立ては、これを棄却する。 
判定の要旨  1302 就業上の差別
3700 使用者の認識・嫌悪
 クラス担任の職務が教諭にとって重要な位置を占めるところ、正当な理由なくクラス担任とされなかった教員は不利益を被ることになるが、組合員3名を担任としなかった理由については、学園の建て直しが急務な時期に学園の教育方針に協力しなかったからである旨主張するのみであり、正当な理由の存在は疎明されておらず、また、組合員1名については、同人が殊更学園の指示に従わなかったといえず、クラス担任としないほどの正当な理由とは認められないから、組合員4名に対しクラス担任としないことは、組合活動を嫌悪してなされた労組法第7条第1号に該当する不当労働行為であるとされた例。

1302 就業上の差別
1602 精神・生活上の不利益
3700 使用者の認識・嫌悪
 正当な理由なく授業持ち時間を大幅に削減された教員は、生徒及び保護者並びに他の教員からの評価が低くなるとともに教員としての誇りを傷つけられ、精神的な不利益を被ることとなるが、学園側は、授業持ち時間の大幅な削減の正当な理由について、能力及び適性から判断した旨主張するのみであり、正当な理由の存在について疎明がなされていないから、組合員2名に対して行った授業持ち時間の大幅な削減は、同人らの組合活動を嫌悪してなされた労組法第7条1号に該当する不当労働行為であるとされた例。

1604 その他
 組合員1名に対するバレーボール部顧問外しについては、バレーボールの指導経験のある熟達者が学園に着任した結果、同部顧問とされ、そのため同組合員が同部顧問から外されたことが認められるから、これが不当労働行為であるとはいえないとされた例。

1604 その他
 組合員1名に対する期限付教諭辞令交付については、同辞令交付時点で、学園が同人を組合の組合員であるとは認識していたとは認められないから、これが不当労働行為であるとはいえないとされた例。

1202 考課査定による差別
3700 使用者の認識・嫌悪
 賞与支給状況から、組合員が全体として低位に置かれていることは明らかであり、学園は、学園への貢献度に応じて査定を行い支給している旨主張するが、査定基準は客観的なものがなく、査定の合理性について疎明がなされていないから、組合員8名については、労使関係で学園と対立する組合における組合活動を嫌悪してなされた労組法第7条第1号に該当する不当労働行為であると認められるが、組合員1名については、学園が組合員であることを認識していたとの疎明はないから、不当労働行為であるとはいえないとされた例。

3103 労働協約締結をめぐる行為
 組合と学園との間で団交の内容を確認し作成された「確認書」の確認事項の取消又は解約する合理的な理由は存在せず、当時、組合と学園との対立が続いていたことから、同確認事項の取消又は解約の通知は、学園が団交の成果を無力化することにより、組合の弱体化を図ったもので、労組法第7条3号に該当する不当労働行為であるとされた例。

4422 その他
 学園は、現在、組合員2名をクラス担任としており、不利益取扱いが解消されているとも解されるが、従来の学園の態度に鑑みると、再び不利益取扱いをするおそれがないとはいえず、同人らの被救済利益なお存するものとされた例。

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献   
評釈等情報   

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