労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  天理総合運輸株式会社 
事件番号  大阪地労委 平成14年(不)第44号 
大阪地労委 平成14年(不)第97号 
申立人  全日本港湾労働組合関西地方大阪支部 
被申立人  天理総合運輸株式会社 
命令年月日  平成16年 2月27日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)分会結成を計画していた従業員らに対し、分会結成を妨害する言動を行ったこと、(2)分会書記長X1を近距離運送業務に配転し、同人の賃金を大幅に減少させたこと、(3)会社の労務対応部長が、分会書記長に対し、脅迫的な言辞により同人を退職させようとしたこと、(4)同部長がトレーラー業務に従事していた組合員X2を収入の減少する別の業務に配転しようとしたこと、(5)労働条件改善、一時金、不当労働行為の中止等に関する団交に応じなかったことが不当労働行為であるとして、争われた事件で、会社に対し、(1)分会書記長に対する配置転換を命じなかったものとしての取扱い及び長距離運送業務に従事させる等の措置、既払額との差額の支給、(2)誠実団交応諾、(3)上記並びに分会結成妨害言動及びX1に対する退職強要言動に関する文書手交を命じ、その余の申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員X1に対し、平成14年3月28日の配置転換を命じなかったものとして取り扱い、長距離運送業務に従事させる等の措置を講じなければならない。
2 被申立人は、申立人組合員X1に対し、同人の配置転換がなかったならば得られたであろう賃金相当額と、既に支払われた賃金相当額との差額を支払わなければならない。
3 被申立人は、平成14年7月16日付け、同月18日付け、同月31日付け、同年9月10日付け、同年10月9日付け及び同年11月30日付け団体交渉申入書に記載の議題に関する団体交渉に、速やかに誠意をもって応じなければならない。
4 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
           記
                        年  月  日
   全日本港湾労働組合関西地方大阪支部
    支部執行委員長 X3 様
                     天理総合運輸株式会社
                      代表取締役 Y1

   当社が行なった下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
            記
   (1)平成14年3月28日、貴組合員X1氏に対し、配置転換を命じたこと。
   (2)平成14年7月16日付け、同月18日付け、同月31日付け、同年9月10日付け、同年10月9日付け及び同年11月30日付け団体交渉申入書で貴組合から申入れのあった団体交渉に応じなかったこと。
   (3)平成14年2月16日及び同月19日、貴組合員X1氏に対し、貴組合天理総合運輸分会の結成を妨害する言動を行なったこと。
   (4)平成14年7月19日、貴組合員X1氏に対し、退職を強要する言動を行なったこと。
5 申立人のその他の申立ては棄却する。 
判定の要旨  2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
3700 使用者の認識・嫌悪
社長らが、何のために組合を作るのか、安心して働くために組合を作るというのであれば他の会社に行けばいい旨発言等したことは、その前後の文脈からみて、会社が事故弁償制度に不満を持つ従業員が中心となって分会を結成する動きを知り、組合を嫌悪し、組合員X1を呼び出すなどして、分会の結成を辞めさせようとしたものというべきであり、分会結成前の会社の当該行為は、労組法第7条第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。

1300 転勤・配転
3501 労働者の行為と不利益取扱の時期との関連
3700 使用者の認識・嫌悪
本件分会書記長X1の配転については、会社が事故賠償制度に反対する労働組合の結成を嫌悪し、そのリーダーであったX1らに分会結成の断念を働きかける等の妨害を行い、さらに会社の事故係であった会社部長が別組合の結成を推進するというように労使関係が激しくなる中にあって、会社は、分会結成直後に、書記長に就任したX1に対して、本件配転を一方的に命じたというべきであって、かかる会社の行為は、労組法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
3410 職制上の地位にある者の言動
3700 使用者の認識・嫌悪
会社の労務対応部長は、入院中の分会書記長X1に対し、下請会社の部長とともに、これら会社の業務とは直接関係のない事項について責任をとるよう詰問しているところ、会社部長は、分会結成直後部長となっていることから、組合に対する同部長の行為は会社の行為とみるのが相当であるから、かかる会社の行為は、組合を嫌悪し、X1を退職に追い込み、もって組合弱体化を図ったものと判断され、労組法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。

2610 職制上の地位にある者の言動
2621 個別的示唆・説得・非難等
労務対応部長がX2に対しトレーラー業務から降ろすと述べたとまでの疎明はなく、これが不当労働行為とはいえないとされた例。

2230 不穏当な態度
2235 その他組合の態度
5回の組合の団交申入れについては、組合は、会社に港湾労働会館での団交開催を強要していたとはいえないこと、社長、常務の出席を団交開催の条件にしているとまではいえないこと、団交において、会社の団交担当者に罵詈罵声を浴びせたとの疎明はないこと等、会社が団交を拒否している理由はいずれも団交を拒否しうる正当なものということはできず、会社がこれら団交申入れに応じなかったことは労組法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとされた例。

業種・規模  道路貨物運送業 
掲載文献   
評釈等情報   

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