概要情報
事件名 |
鳥取城北高等学校 |
事件番号 |
鳥取地労委 平成15年(不)第1号
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申立人 |
全国一般労働組合鳥取地方本部 |
被申立人 |
学校法人 矢谷学園 |
命令年月日 |
平成16年 2月23日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
学園が、(1)組合地方本部及び支部との間で締結した平成8年協定の解約予告を突然通知したこと、(2)同協定の解約予告に関する団体交渉を拒否したこと、(3)同協定と同内容の協定を支部とのみ締結したこと等が不当労働行為であるとして、争われた事件で、学園に対し、(1)地方本部に対する平成8年協定の解約予告通知がなかったものとしての取扱い及び一方的に解約予告する等しての支配介入の禁止、(2)団交拒否の禁止、(3)文書手交を命じ、その余の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人学校法人矢谷学園は、平成15年7月7日付けで申立人全国一般労働組合鳥取地方本部に対して行った協定書の解約予告通知をなかったものとして取り扱わなければならない。 2 被申立人学校法人矢谷学園は、労使関係がないなどとして、申立人全国一般労働組合鳥取地方本部との団体交渉を拒否してはならない。 3 被申立人学校法人矢谷学園は、申立人全国一般労働組合鳥取地方本部との間に締結された協定書について一方的に解約を予告するとともに、労使関係はないなどとして、その団体交渉権を否定したり、同地方本部の影響力を排除するため、申立外全国一般労働組合鳥取城北高等学校支部のみを対象とした協定の締結を行なうなどして、同地方本部の運営に支配介入してはならない。 4 被申立人学校法人矢谷学園は、申立人全国一般労働組合鳥取地方本部に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。 (大きさはA4判とし、年月日は手交の日を記載すること。) 記 年 月 日 全国一般労働組合鳥取地方本部 執行委員長 X1 様 学校法人矢谷学園 理事長 Y1 当学園が、貴組合に対して行なった下記の一連の行為は鳥取県地方労働委員会において、労働組合法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されましたので、今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 記 1 平成15年7月7日付けで一方的に協定書の解約予告通知を行なったこと。 2 労使関係がないなどとして、団体交渉に応じなかったこと。 3 平成15年7月31日付けで全国一般労働組合鳥取城北高等学校支部のみを相手方として協定を締結したこと。 5 申立人のその余の本件救済申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
2120 交渉委任
2249 その他使用者の態度
3103 労働協約締結をめぐる行為
平成15年7月9日の学園の団交申入れ撤回については、学園が自ら申入れをした団交だからといって、勝手に撤回することは許されず、学園は誠実に団体交渉を行う立場にあったにかかわらず、学園の対応は到底誠実なものであったとはいい難いこと、7月16日の学園の交渉態度は、学園側の交渉委員は団交に臨むにあたり何ら交渉権限を与えられておらず、学園に真摯に団交に臨もうとする姿勢があったといえるか疑わしいこと、8月7日付けの地本の団交申入れ拒否は、新協定等をめぐって紛争は続いており、地本が「使用者が雇用する労働者の代表者」に該当することは明らかであり、地本が学園と交渉する権利を有するのは当然であることからすると、学園は、いずれも団交を正当な理由なく拒否したものであるとされた例。
2115 上部団体存在否認
3103 労働協約締結をめぐる行為
3106 その他の行為
学園と地本及び支部との協定について、学園が解約予告通知を行った理由も必要性も見出し難く、学園は地本に一切連絡しないまま、支部と単独で新協定の締結を強行したこと等は支部を地本の統制から分断し、地本の影響力を排除することを企図したことの現れであり、組合活動への干渉行為に該当すると判断されること、労働協約の解約については、無条件に解約できるのではなく、手続的には解約事由について相手方に告知し、相手方がその是非について協議を申し出た場合には、十分協議を尽くすことは当然であるところ、学園は解約事由を何ら告知せず、組合側からの協議の要請にも応じなかったのであるから、協定書の一方的解約予告通知に端を発した一連の学園の行為は、支配加入に該当する不当労働行為であるとされた例。
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業種・規模 |
教育(自動車教習所を含む) |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
 
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