労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  西日本旅客鉄道 
事件番号  大阪地労委 平成13年(不)第25号 
大阪地労委 平成13年(不)第36号 
申立人  国鉄労働組合大阪地区本部 
申立人  国鉄労働組合近畿地方本部 
申立人  国鉄労働組合大阪地区電車区分会 
申立人  国鉄労働組合大阪地区車掌分会 
被申立人  西日本旅客鉄道株式会社 
命令年月日  平成16年 2月26日 
命令区分  全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない) 
重要度   
事件概要  会社が、(1)勤務時間外に会社施設内で分会作成のアンケート用紙を配布した組合員X1を訓告処分とし、組合員X2を厳重注意処分としたこと、(2)組合掲示板から撤去された職場新聞の返却と撤去理由を求めて内勤室を訪れた組合員X3に対して、退去指示に従わず業務を妨害したとして訓告処分としたこと、(3)組合掲示板から複数の職場新聞を撤去したことが不当労働行為であるとして、争われた事件で、会社に対し、(1)組合員X1の訓告処分のなかったものとしての取扱い及びバックペイ並びにX2の厳重注意処分のなかったものとしての取扱い、(2)組合員X3の訓告処分のなかったものとしての取扱い及びバックペイ、(3)文書手交を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人国鉄労働組合大阪地区電車区分会組合員X1に対する平成12年9月28日付け訓告処分及び同組合員X2に対する同月29日付け厳重注意処分がなかったものとして取り扱うとともにX1に対し、当該訓告処分を理由として生じた一時金からの減額相当分を支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人国鉄労働組合大阪地区車掌区分会組合員X3に対する平成13年1月31日の訓告処分がなかったものとして取り扱うととともに同人に対し、当該訓告処分を理由として生じた一時金からの減額相当分を支払わなければならない。
3 被申立人は、各申立人に対し、下記の文書を速やかに交付しなければならない。

                      年 月 日
  国鉄労働組合近畿地方本部
    執行委員長  X4 様
  国鉄労働組合大阪地区本部
    執行委員長  X5 様
  国鉄労働組合大阪地区電車区分会
    執行委員長  X6 様
  国鉄労働組合大阪地区車掌分会
    執行委員長  X7 様
                 西日本旅客鉄道株式会社
                  代表取締役社長  Y1
  当社が行った下記の行為は、大阪地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
              記
   (1) 貴国鉄労働組合大阪地区電車区分会組合員X1氏に対して平成12年9月28日付け訓告処分及び貴国鉄労働組合大阪地区電車区分会組合員X2氏に対して同月29日付け厳重処分を行ったこと。
   (2)貴国鉄労働組合大阪地区車掌区分会組合員X3氏に対して平成13年1月31日付けで訓告処分を行ったこと。
   (3)当社大阪支社京橋車掌区において、平成12年12月27日から同13年6月5日までの間に、貴国鉄労働組合大阪地区車掌区分会が京橋車掌区に設置する掲示板から、掲示中の次の掲示物を撤去したこと。
      (1)平成12年12月21日頃に掲示され、当社が同月27日に撤去した同月20日付け「国労橋車第1号」
      (2)平成12年12月31日頃に掲示され、当社が同13年1月9日に撤去した「国労橋車ニュース強制撤去に抗議」と題する職場新聞
      (3)平成13年1月21日頃に掲示され、当社が同月29日に撤去した同月21日付け「国労橋車第3号」
      (4)平成13年2月2日頃に掲示され、当社が同月6日に撤去した同月1日付け「国労橋車第4号」
      (5)平成13年2月10日頃に掲示され、当社が同月15日に撤去した同月7日付け「国労かんじょう号外」と題する職場新聞
      (6)平成13年4月16日頃に掲示され、当社が同月17日に撤去した同月15日付け「国労橋車第9号」
      (7)平成13年6月2日頃に掲示され、当社が同月5日に撤去した同月1日付け「国労橋車第12号」 
判定の要旨  0211 その他の組合活動
1400 制裁処分
3700 使用者の認識・嫌悪
組合員X1及びX2が行った、組合活動としてのアンケート用紙等の配布行為は、就業規則に定める会社の許可を経てはいないものの、同行為が会社の業務に具体的な支障を与え、職場秩序を乱したとはいえず、組合活動として正当性の範囲を逸脱したとまではいえないこと、これに会社と組合との間の長年の厳しい労使対立の経緯等を考えると、会社による組合員X1及びX2に対する訓告処分及び厳重注意処分は、組合によるアンケート調査活動を嫌悪した会社が、労働組合の正当な行為をしたことのゆえをもって、当該組合員を不利益に扱うとともに、組合活動を抑制することを意図して行ったものと考えるのが相当であり、かかる会社の行為は、労組法第7条1号及び第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。

0200 宣伝活動
3106 その他の行為
3700 使用者の認識・嫌悪
会社が撤去した掲示物の記事は、いずれも組合が自らの意思や見解を示し、会社の労務政策等を批判するといったものであり、組合と会社との労働協約で認容されるところの妥当な組合活動の範囲内にあるとみなすべきものであるから、会社がなした分会掲示板の掲示物の撤去は、組合の活動を嫌悪し、その弱体化又は介入を企図して、労働協約に定める正当な撤去の権限を超えて行ったものとするのが相当であり、労組法第7条3号に該当する不当労働行為であるとされた例。

0211 その他の組合活動
1400 制裁処分
3106 その他の行為
会社が分会掲示板から撤去した、職場新聞の返還及び経緯等の説明を求めて内勤室に赴いた組合員X3の行為は、抗議の態様も相当性の範囲内にあり、組合活動として正当性の範囲を逸脱しているとまでは認められず、会社がなした同人への訓告処分は、会社と組合との間の長年の厳しい労使対立の経緯等を考えると、同人の組合活動を抑制するために行ったものと考えるのが相当であり、労組法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であるとされた例。

業種・規模  鉄道業 
掲載文献   
評釈等情報   

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